核酸創薬研究部門 - 東京理科大学 研究推進機構総合研究院

核酸創薬研究部門設立の背景

2014年度から2018年度まで行われたTR (Translational Research) センターの活動の中で、特に優れた成果を挙げた研究分野であり、かつ今日における社会的な要請と注目度の高いものとして、核酸医薬関連の研究分野が挙げられます。本学には、核酸創薬の分野で世界的に活躍している研究者が複数存在し、それらがみなTRセンターのメンバーとして研究に参画していました。2017年度に、西川元也教授を代表者として「核酸創薬DDS懇談会」が設置され、本学の核酸医薬に関わる研究者が参集し、核酸医薬の開発に関する議論を重ね、本部門の設置に向けた準備が整いました。そしてTRセンターの後継部門として、「核酸創薬研究部門」の設置を計画し、2019年4月より発足することとなりました。

核酸創薬研究部門の目的、目標

図1:核酸医薬による遺伝情報の制御

核酸医薬の開発に必要な研究分野は多岐に渡りますが、本学には各分野における極めて優れた研究者がおり、本部門ではそれらを結集することにより、本学独自の核酸医薬の開発が推進できるという大きなシナジー効果が期待できます。本研究部門では、従来の核酸医薬品と比較して、有効性、安定性、安全性に優れる新規核酸誘導体を開発し、また、核酸に結合して安定性や体内動態を改善する新規キャリア分子、製剤技術を確立することを目指します。また、それらの核酸医薬分子の標的として、免疫系、代謝系、がんに関わる疾患領域を選び、新規核酸医薬を用いた治療法の開発につなげることを目標としています。このように、本学の核酸創薬に関わる優れた研究者が本部門に結集し、独自の標的に対する独自の核酸医薬の開発が推進されることが期待されています。

核酸創薬研究部門の構成員

図2:核酸創薬研究部門(核酸医薬の開発)

本部門は、独自の核酸合成技術を基盤とした核酸創薬ベンチャーの設立と核酸医薬の臨床開発実績のある和田を部門長とし、核酸医薬の体内動態制御を基盤としたDDS(西川元也教授)、アンチセンス核酸医薬の設計と応用(鳥越秀峰教授)、核酸医薬の高分子キャリア(大塚英典教授)、核酸医薬分子の製剤化(花輪剛久教授)、核酸医薬を用いる免疫系の制御(西山千春教授)、核酸医薬の代謝(樋上賀一教授)、核酸医薬によるがん治療(秋本和憲教授)の各分野に加え、新たにバイオインフォマティクスやAIを活用した核酸医薬の標的探索と設計に宮崎智教授、核酸医薬の作用機序解明に櫻井雅之講師が加わる組織構成となっています(図)。既に部門内では研究者間の共同研究が進行、または計画されています。

本部門の研究課題

本部門では、独自の標的に対する独自の核酸医薬の開発を推進します。研究課題は以下の通りです。

  1. ホスホロチオエート核酸に代わる次世代の核酸医薬分子として期待されているボラノホスフェート核酸の合成手法を確立
  2. 核酸医薬に結合して生体内における安定性向上に有効なカチオン性人工オリゴ糖およびカチオン性ペプチドの大量合成技術を確立
  3. ナノ構造化核酸の立体構造依存的な細胞相互作用の解明を通じた、細胞選択的核酸デリバリーシステムの構築
  4. 従来の低分子医薬では困難であった創傷治癒や膀胱癌に対する治療薬として、関連遺伝子の発現を制御するアンチセンス医薬の開発
  5. 特定の疾患に有効な核酸医薬の新規製剤化手法の開発
  6. 核酸医薬の新たな標的疾患として、老化や、老化に伴う疾患、代謝異常の制御を目指した研究
  7. 自己免疫疾患やアレルギー、移植時の拒絶反応の制御を目指し、免疫担当細胞の機能やそれに関わる遺伝子の発現制御機構を解析し、それらを制御する核酸医薬の開発
  8. 新規カチオン性分子とsiRNAの複合体を用いた有効な乳がん治療薬の開発
  9. 疾患の標的となるタンパク質をコードするmRNAや非コードRNAの配列を、バイオインフォマティクスとAIを活用して探索する技術の開発
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