衛生学とは?
1)予防医学である
治療医学(疾病を治療する医学)に対し、疾病を予防する医学です。
2)社会医学である
疾病を予防するために社会的なシステムを用います。疾病予防のために必要な社会的規制のための根拠となる科学的基礎データを提供することが衛生学の目標の一つです。
3)環境医学である
ひとりひとりの人間を尊重しながら、社会的システムを用いた疾病予防をするうえで最も有効なのは、環境(労働環境、一般環境)を制御することです。
衛生学の歴史
- イタリア医師、パドヴァ大学教授 Bernardino Ramazzini(1633-1714)は、「働く人々の病気」(De Morbis Artificum Diatriba)を著し、職業によって罹りやすい特徴的な病気があることを記述した。
- 英国外科医、Percival Pott(1714-88)は、1775年、煙突掃除夫に陰嚢癌が多いことを報告した。職業がんに関する最初の明確な記載と言われている。
- 1876年、薬剤師資格をもつMax Josef von Pettenkofer(1818-1901)は、ミュンヘン大学医学部衛生学講座を創立し、初代教授となる。
本衛生学講座の歴史
- 1935年、内務省社会局労働部技師として職業病、工業中毒の実態調査を行った鯉沼茆吾は、名古屋医科大学(後の名古屋大学)衛生学講座教授に就任する。名古屋大学医学部衛生学講座は、名古屋が日本における製造業の中心となる過程の中で、多くの職業病の原因解明、予防のための研究を行った。
- 1964年(原著論文としての発表は1967年)名古屋大学医学部衛生学・山田信也講師が、ノルマルヘキサンによる多発性神経障害の世界で初めての報告を行う。
- 1989年、名古屋大学医学部衛生学講座第3代教授・竹内康浩の指導の下、市原学は労働衛生学の研究を始める。メチルエチルケトンによるヘキサン神経毒性増強作用のメカニズムの解析、フロン代替物質2-ブロモプロパンの生殖毒性、1-ブロモプロパンの神経毒性、生殖毒性に関する研究を行う。
- 2014年4月、市原研究室は名古屋大学より、東京理科大学に移る。