生体エネルギー変換系の研究
生体エネルギー論
- 私達はエネルギーを利用して生命を保っている。生体においては,いろいろな形の
エネルギー,例えば光エネルギー,筋肉の力学的エネルギー,ATPなどの化学的な
エネルギーなどが利用されている。生体はそれら各種のエネルギー形態の変換装置を
持っている。私達はそのような生体のエネルギー変換機構を研究している。材料として,
特に腸内連鎖球菌のナトリウムイオン輸送性V型ATP
アーゼ,大腸菌の二次性能動輸送系(特にアミノ酸
輸送系),細菌べん毛モーター,筋肉のアクトミオシン系を研究している。
- 1978年のノーベル化学賞が Peter Mitchell の化学浸透圧説でした。そのお陰で、
細胞における各種のイオンの流れやイオン勾配の意義が認められたのです。そして、
1997年(今年)のノーベル化学賞は Boyer, Walker, & Skou です。ミトコンドリア
F型ATPアーゼのエネルギー共役モデルと、その頭部部分の結晶構造解析と、そして
各種細胞、特に神経系のナトリウムイオン勾配を作る上で中心的役割をする Na+,
K+-ATPアーゼの発見です。私たちの研究に非常に近い研究の受賞で、今後
この分野が更に発展することを願っています。皆さんの積極的な参加を期待します。(97.10.21)