3ー2 電位差がlogrに従うのはなぜ?
 この実験で注意しなければならないこと

疑問
「この実験において、なぜ電位差は1/rではなくてlogrに従ったのでしょうか?」

 この実験に関してその疑問に答えるためには、次の2点を注意しなければなりません。

(1)この実験では点電荷を扱っているのではない。
 先ほども述べたように、点電荷を持ってきて実際にそこから作られる電場の性質を見るのは非常に困難です。「問題にしている領域を囲む境界線におけるポテンシャルが、電源装置により指定されている(実験1では10V)」という境界条件のもとで、電位に関する場の方程式であるラプラス方程式を与えられた境界条件のもとで満足するように解く問題設定になっています。

(2)この実験で調べる系は2次元系である。
 この実験ではポテンシャル(電位)を直接測定してるのではありません。カーボン紙に流れる電流による電圧降下を測定しているので、電場は電流が存在するカーボン紙2次元平面内のみに存在します。
 よって、実験で調べる系は2次元系であり、左の図に示したようにこの2次元平面に垂直な方向に不変な3次元ポテンシャル(電位)分布を持つ系の断面をこの実験では調べている、とみなすことができます。
 以上のことをふまえて、「この実験で私たちはどのような電位分布を体感してlog(r)の依存性を見たのでしょうか?」。この問いに答えるべく、実験での系に即した境界条件を課してラプラス方程式を解いた例題を見てみましょう。
この実験の場を記述したラプラス方程式例題へ



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