6 実験3 イオン泳動法で電気力線を見る

 電極A,B間を『実験2』の点電極間距離と同じにして、実験に最適な水分を含んでいるろ紙を平面電場にします。
 電極A,Bを陽極、金属環Cを陰極に接続します。


 乳ばちで粉砕した微量の過マンガン酸カリウムをろ紙に散布します。
 解離して出てくる過マンガン酸イオン()は陰イオンですから、これに静電場を加えるとクーロン力により陽極の方向に引かれるはずです。
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 ドライヤーで乾燥させて(紫赤色)の移動過程を見てみましょう。確かに過マンガン酸イオンが陽極に引きつけられている様子が見られます。
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 『実験2』でプロットした等電位の図と重ね合わせてみましょう。
 陰イオンの進む方向は等電位線と※ほぼ直交しているようです。
 ※『実験1,2』での系と、この実験の系では境界条件が違います。 『実験1,2』では、左右の固定用金属板での電位を0Vにしているのに対し、この実験では円形の金属環での電位を0Vにしています。
 その意味で厳密に言えば両者を比べるのは正確な比較にはなりません。しかし、この実験では、log(r)の依存性が見られる程度の距離rについて議論しているので、「ほぼ直交する」と評価してよいでしょう。



◆Summary
 電場の様子を一目でわかるように図示したものを電気力線(electric line of force)と呼びます。これは、各点で電場の向きに矢印を描いていった時の奇跡を表しています。すなわち、電気力線上では、その点の接線方向が電場の向きということになります。
 実験では陰イオンの移動過程を見ました。実際の電場の向きは陰イオンの移動した方向の逆になります。



 ・電気力線は正の電荷から負の電荷にむかう
 ・電気力線(電場の向き)は、等電位面に垂直で、ポテンシャルが減少する方向である。




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