3章Special Techniquesに移り、
(1)これまで扱って来た静電場の問題は与えられた電荷分布がどのような場やPotentialを作るか?を積分により求めるものでしたが、例えば、導体に与えた全電荷量Qはわかるがそれがどのような表面電荷分布をするかは(導体の形状に対称性が無く)自明でない場合や、電源を用いて導体の電位(Potential)自身を制御する場合は、これらの積分の方法は使えません。電荷分布がelsewhereにはあるが、それを除いた電荷のない空間でのPotential V(r)を知るためにはLaplace方程式∇^2V(r)=0という偏微分方程式を適切な境界条件(Boundary Condition)で解くことになることを説明しました。
(2)電荷のない空間でのPotential V(r)が満たしている特徴的な性質(The value of V at the point r is the average value of V over a spherical surface of radious R)を、テキストp114にあるように、点電荷の作る場について、積分計算をしてcheckしてみることを指示しました。点電荷の作る場についてこの点がcheckできれば、重ね合わせの原理により、任意の電荷分布が作る電荷のない空間でのPotentialについても成り立つます。
(3)電荷のない空間でのPotential値はそのまわりのPotential値の平均値になっているという、静電Potentialの満たす性質は当然、Laplace方程式∇^2V(r)=0という場のでき方を記述している偏微分方程式のなかに直接読み取ることができるはずですが、(簡単のため)2次元の格子化したLaplace方程式を用いて「格子点(i,j)における電位は、まわりに隣接する4つの格子点の平均値に等しくなるように決まる」ことをLaplace方程式が要求!していることを確かめました。それを実践した解法がRelaxation Method(緩和法)ですが、それをQuickTime Movieで見せました(同じものが電磁気web-pageの『電磁気学webコンテンツ集』に置いてありますので復習に活用してください)。
(4)Laplace方程式が要求!している場のでき方からは、「空間に電荷を含まない静電場を考えると、電位はその領域内において極大値、極小値も取らない」というEarnshaw(アンショウ)の定理が導かれるという話をしましたが、演習で扱う問題3.2(p115)を解いて、「electrostatic containment is out of the question」 を体感してください(『電磁気学webコンテンツ集』にその助け?になるマテリアルがあります)。
(5)Relaxation Method(緩和法)を適用した四角パイプの問題を、変数分離によりLaplace方程式を解く方法で解析的に扱いました。(これは問題3.14(p136)の問題そのものです:ただし辺の長さa,bが逆になっています)最後のV(x=a,y)=V0の境界条件をそれまでに求まった解の和として満たさなければならないこと、それ自身が方形波のフーリエ級数になっていることを指摘しておきました。
(6)四角パイプの問題では変数分離法の方法を直交座標系で用いましたが、球座標系ではどうなるか?自由空間で導体球の電位を指定した場合には電位は球対称性(Vは動径長rだけの関数)を持ち、偏微分方程式は簡単に解けましたが(問題3.3(p116))、一様外電場中に置かれた導体球については、Vは動径長rだけの関数ではなくθにも依存し、Legendre(ルジャンドル)特殊関数の登場になる話をしました。
(7)次回は球座標系での変数分離法について話を(p137)します。物理数学2で学習した「Legendre(ルジャンドル)特殊関数」について復習しておいてください。
10月4日(後期 第2回目)の講義では
ラプラス方程式の極座標系での変数分離法による解法の話をしました。
(1)(p116)問題3.3と同等な(答えは自明な)例題を出して、与えられた境界条件から電位が示す球対称性(電位Vが動径長rsだけの関数)を示す場合には極座標系におけるラプラス方程式は簡単に解けることを示しました。
(2)一様外電場中に置かれた導体球を扱うExample3.8(p141)を取り上げ、球対称性がなく、一様外電場方向のz軸まわりの軸対称性しかない場合には、極座標系の角度θにも電位が依存し、V(r,θ)の一般解が式3.65になることを復習(物理数学2で学習済みの話)しました。直交関数系の話が怪しい人(線形代数におけるベクトル/基底ベクトル/成分/内積/直交性が直交関数系ではどうなっているか?ピンと来ない人)は復習をしてください。
(3)Example3.8は導体表面を内側の境界として、無限の彼方を外側の境界として持つ領域について(電荷は存在しませんので)Laplace方程式の満たす境界条件(境界における電位)を課して解を求めるものでした。この問題の解法で用いた論法の理解を深めるために問題3.17(a) をAssignment#1(その1)として出しました。
(4)Example3.9(p142)を取り上げ、球面上の電荷分布σ(θ)が最初に与えられた場合をテキストの記述に沿って解説しました。この問題では半径Rの球の外側(OUT)と内側(IN)を分けて考えました。OUT領域とIN領域の境界条件を、Laplace方程式という偏微分方程式の境界値問題としてどのように与えたか?(境界における電位を与えたのか?/境界に置ける電位の垂直微分を与えたのか?/なぜ外側(OUT)と内側(IN)の境界値問題を抱き合わせで考えたのか?)について今一度整理してみてください。ここの問題の解法で用いた論法の理解を深めるために問題3.17(b) をAssignment#1(その2)として出しました。
(5)p145問題3.25&3.24を円柱座標系における同様なLaplace方程式境界値問題です。各自で計算してみてください(答え合わせとして、誘起される電荷はσ(φ)=2(ε0)(E0)Cos(φ)となります)
(6)次回はテキストp121 の Method of Imageに入ります。
10月11日(後期 第3回目)の講義では
Method of Image(p121)に進みました。
(0)Assignment#1(後期)の解説をしました。3.17(a)のうち球の内側のポテンシャルがどこでもV0になりましたが、この答えは「電荷のない空間でのPotential値はそのまわりのPotential値の平均値になっている」ことを実践しているRelaxation Method(緩和法)で予想される解と確かにconsistent でした。
(1)Method of ImageをWikipediaで調べてみると「The method of image charges (also known as the method of images and method of mirror charges) is a basic problem-solving tool in electrostatics. The name originates from the replacement of certain elements in the original layout with imaginary charges, which replicates the boundary conditions of the problem.」
となっていますが、その典型例として「Grounded conducting planeと点電荷qからなる系(Original Problem)のPotential問題」p121を取り上げました(電磁気のテキストでmethod of imageを扱っている場合には例題として必ず掲載されています)。
(Original Problem)と似て非なる[点電荷qとImage点電荷q’(導体はありません)]からなる系(Analog Problem)を利用して、z=0の境界面でPotential=ゼロという境界条件を満足するようにImage点電荷q’の大きさと場所を決め、解く方法がMethod of Imageです。導体表面に誘起される電荷分布σ(ρ)は問題が解けるまではあらかじめわかりませんが、Potential問題が解けたあとはNormal derivativeにより求めることができ、直感通り点電荷に最も近いρ=0で最大値をとり、対称軸まわりの回転角θには依存しない、全電荷量がImage点電荷q’に等しいσ(ρ)が求まりました。点電荷に働く力についても電荷分布σ(ρ)が点電荷の場所に作る電場を計算し求め、それが点電荷qとImage点電荷q’を考えた単純な結果と一致することも確かめました。ただし、この系に蓄えられた静電場エネルギーについて単純に(Analog Problem)の答えを代用してはまずい点について言及しました。Method of Imageは「ラプラス方程式の解の一意性」に基づいた解法であることを言及しました。演習時間に解く問題で解の一意性(テキスト p116 ~121)について理解してください。
(2)(1)の例では、Image点電荷は1個で十分でしたが、複数のImage点電荷が必要で、常に境界条件を満足するようなImage点電荷q’の置き方があるわけではないことを体感するためにAssignment(後期)#2その1として、p126の問題3.10を出しました。90°の場合、45°の場合、135°の場合について解法の方針と、なぜ角度が限られるのかについて絵解きで説明をし、Method of ImageではPotential問題を考えている空間にImage点電荷を置いては行けない(Original Problemが破綻)こと、複数のImage点電荷が数ないしは大きさについて収束しないと問題が閉じないことを指摘しました。演習で扱う問題3.35(p155)も同類の問題ですので注意深く解いてみてください。よってAssignment(後期)#2その1はImage電荷の置き方だけを答えとして書いてあってもダメで、適切な説明を各自の言葉で行ってください。授業中に言いましたが、問題3.10では、いろいろな項目について問っていますが、Assignment(後期)#2その1では、90°の場合、45°の場合、135°の場合についてmethod of imageによりポテンシャル問題を解く(適切なImage電荷を置いて、bounday conditionを満たす)という問題に読み替えます。
(3)Image点電荷の置き方がほとんど自明と思われない例として、半径Rの(接地された)導体球の近くに点電荷qを置いた問題をp124Example3.2にそって考えました。適切な大きさのImage点電荷を適切な場所にたった1個置くだけでbounday conditionが満たされた点はある意味驚きですが、数学的な裏打ちはアポロニウスの円として知られる幾何にあります。この問題に関連してAssignment(後期)#2その2として、全く逆の状況におけるPotential問題を設定しました(テキストには問題として載っていません)。半径RのGrounded hollow sphere内に中心点から距離aの場所に点電荷qがある時のPotential問題です。method of imageの方法にしたがい、Original ProblemをどのようなAnalog Problemを利用して問題を解いているか?論理の流れが分かるように言葉と数式+図で簡潔に記述してください。
(3補足)演習時間に解くp126の問題3.9は「半径Rの(接地された)導体球の近くに点電荷qを置いた問題」とは異なる状況ですが、アポロニウスの円の幾何は役に立つでしょうか??
(4)同様に、半径Rの(孤立した)導体球の近くに点電荷qを置いた問題を考えました。先ほどの「(接地された)導体球の近くに点電荷qを置いた問題」において1個目のImage点電荷が置かれた事によりすでに球殻が同電位になっている状況をだいなしにすることなく、二つ目のImage点電荷を球の中心に置けば球殻の(無限遠に対する)ポテンシャル値を任意の値に設定することができる(p126の問題3.8を参照)ことを説明しました。(孤立した)導体球の場合は二つ目のImage点電荷は1個目のImage点電荷と同じ大きさで逆の負号を持つように選べば良いことになります。
(5)「(接地された)/(孤立した)導体球の近くに点電荷qを置いた問題」を対比させながら、誘導電荷分布σ(θ)の 接地/孤立での違い、球面上での電気力線の出入りの仕方の違い、球面上でのPotential値(ゼロ)/(点電荷の距離により変化する)の違いを、『電磁気学webコンテンツ集』の3章に置いてあるQuickTimeMovieを納得がいくまで見てください。
(6)来週はp146の3.4 Multipole Expansion に進みます。ルジャンドル多項式の母関数を用いて、Multipole Expansionの話を進めます。ルジャンドル多項式の母関数?という人は、簡単に復習しておいてください。
(おまけ)
現在、Berlinにある研究所に実験のため滞在していて(申し訳ありませんが来週10/18は休講です:年内に補講をします)FWのため授業LOGはUpできないと思っていましたが、VNCのおかげでなんとか遠隔でUPできました。ここはもう秋です。14 Oct 2006

10月26日(後期 第4回目)の講義では
p146の3.4 Multipole Expansion に進みました。
(0)成田に7:30に到着して、そのまま大学に向かい、ぎりぎり授業に間に合ってホットしました。
(1)前期に、有限の電荷分布が作るポテンシャルV(r)の計算のcheckとして、十分遠方で「it looks like a point charge」を確かめて来ましたが、電荷分布の総量がゼロである場合には第0近似では(1/rの寄与をする)ポテンシャルはゼロであるが、電荷分布がある以上何かのポテンシャルはあるはずであるという問題意識を持って、+qとーqの点電荷が距離dだけ離れた電荷分布(電気双極子[Electric Dipole])を考え、十分遠方(r >> 電荷分布の広がりを表す長さのmeasure d)でポテンシャルV(r)を評価しました。QuickTimeMovieで見せた様に、r>>dの領域では、1個の点電荷の作るPotentialの示す1/r依存性より強い1/r^2のr依存性を持つこと、V(r)は等方的でないことがわかります。
(2)さらに、1/r^2のr依存性を持つ電気双極子を2個組み合わせた電荷分布(電気四重極子[Electric QuadruPole])では、QuickTimeMovieで見せた様に、1個の電気双極子の作るPotentialの示す1/r^2依存性より強い1/r^3のr依存性を持つこと、V(r)は電気双極子の場合より複雑な非等方性を示すことをがわかります。
(3)以上の導入を持って、任意の電荷分布ρ(r’)の作るポテンシャルを1/rのベキで表現するMultipole Expansion(多重極子展開)を、ルジャンドル多項式の母関数を利用して、議論しました。1/rの寄与としてMonopole項(全電荷が原点に集中したときのMonopole Q=スカラー による)、1/r2の寄与としてDipole項(電荷分布の偏りを表すDipole moment(双極子) P=ベクトル による )、1/r3の寄与としてQuadrupole項((Quadrupole Qij=2階のテンソル による)らがあることを説明しました。
(4)Multipole Expansion(多重極子展開)を具体的に、原点からy方向にdだけ離れた位置に点電荷qを置いた電荷分布ρ(r')=qδ(x')δ(y'-d)δ(z')について用いてみました。まず、解析的にMonopole項/Dipole項/Quadrupole項を計算し、さらに図でそれらのポテンシャルを示しました。この例では、多重極子展開において高次の項まで和を取ることにより初めてあらわになるポテンシャルの形が(実は)自明な(原点からy方向にdだけ離れた位置にある)点電荷ポテンシャルであるという答えがわかっているため、答えがわかっているポテンシャルからMonopole項を差し引いた残りが<主に>Dipole項で表せること、さらにDipole項を差し引くと残りが<主に>Quadrupole項で表現できることを味わうことができます。できれば各自で実際に(PC等を使って)作図してみると理解が深まると思います。
(5)Monopole項がゼロの場合はDipole moment(双極子)の値自身は原点の選び方によらず一意的にさだまるが、Monopole項がゼロでない場合はむしろ原点をうまく選ぶことによりDipole moment(双極子)をゼロにすることができることを強調しておきました。
(6)Dipole項によるポテンシャルV(r)を座標系によらない表式(p149の3.99式)で与えましたが、Dipole項による電場E(r)を座標系によらない表式(p155の3.104式)で表す問題3.33をassignment#3(その1)の予約としました。ただし、3.99式のGradientを取り、公式(3)、(4)などを使いながら導出をすることを条件として付けました。
(7)次回は4章に入り、テキストの順に話を進めて行きます。
11月4日 [2コマ目+3コマ目](後期 第5回目および第6回目)の講義では
p160の4章に入りました。これまでは電荷分布や電流を設定するために導体(Conductor)を考えて来ましたが、誘電体の登場です。
(1)まず、誘電体という物質の構成要素である原子/分子が電場中に置かれると何が起こるか?を考えるために、水素原子を例に取り、一様な電場中で電気双極子がどのように誘起されるか?(atomic Polarizability α)について考えました。
(1-1)その最もPrimitiveな原子模型として一様球電荷分布(例題4.1)を考えα/4πε0=a0^3(a0はBohr半径)〜0.15 を得ました。電場中でも負の一様な球電荷分布は変わらないと仮定した点、誘起される電気双極子を計算するための原点は全電荷量がゼロなのでどこでも良いが、負の一様な球電荷分布の中心に取るのが簡単であった点を思い出してください。
(1-2)量子力学の教えによる1S軌道の電荷分布(問題4.2)を考えα/4πε0=0.75a0^3(a0はBohr半径)〜0.09となり、電子分布の形が変わらないモデルでは実験値にほど遠いが、
(1-3)2P軌道などの励起状態の波動関数が基底状態である1S軌道の波動関数に混ざることを反映した正確な量子力学的(摂動)計算を行うとα/4πε0=4.5 a0^3(a0はBohr半径)〜0.669となり非常に良く実験値を説明することを言及しました。量子力学の勉強が順調に進んでいればを1年後の今頃はこの話がわかるようになっています。
(2)上記のneutral atom(non-polar molecules) の場合では、電場を加える前にはdipole momentが誘起されておらず電場を加えて初めてtiny dipole moment が電場の方向にinduceされましたが、 H2Oのようなpolar moleculesの場合はN=P×Eなるtorqueを受け電場の方向を向くプロセスが有限温度での熱擾乱と競合し平均として電場の方向にtiny dipole momentが向き、結果として、物質(誘電体)は分極(polarized)する話をしました。
(なお、電気双極子が電場から受ける力とtorqueについては、きちんと話しませんでしたので、次回の講義時にこの点を補足します)
(3)分極した物質(誘電体)はdipole momentの密度である分極P(r)(Plarization)により特徴づけられ、分極した物質が作り出す電場(ポテンシャル)を計算する際には、分極P(r)の存在と等価な[表面拘束電荷密度]σb(4.11式)と[体積拘束電荷密度]ρb(4.12式)を考えれば良いという話をしました。
(4)この等価性を実感するために、一様に分極した球の作るポテンシャルを、式4.9に従い直接積分する(p170問題4.12)方法と、分極P(r)の存在と等価な[拘束電荷密度]σb,ρbを用いて計算する(P168example4.2)方法で、実際に行い、確かに同じ答えになること示しました。さらに、別の考え方(Example4.3)の説明も加えました。
Example4.3が解説されている4.2.2 Physical Interpretation of bound charges (p170)を読んで、[拘束電荷密度]σb,ρbのイメージをとらえてみてください。
(5)問題4.14(p173)で解説したように、もともと誘電体にある全電荷量はゼロですので、表面拘束電荷密度σbと体積拘束電荷密度ρbをすべて足し合わせるとゼロになるという点を強調しました。
(6)物質(誘電体)の存在下ではガウスの法則(微分型)はどうなるか?の話をし、新しく D :electric displacement (名前は歴史的経緯によるもので、単なる補助量と考え、物理的な意味を考える必要がないというのが現代的な電磁気学テキストでの扱い方です)を導入し、自由電荷ρfだけで書かれたガウスの法則(微分型)が得られることを示しました。
(7)問題4.15をその具体例として2種類の方法(method1 & method2)で解きました。
(method1)σb,ρbを求めガウスの法則(積分型)を用いて電場Eを求める
(method2)electric displacement についてのガウスの法則(微分型)を用いて求める。
method2が断然速く解け、method2の有用性を示しました。
(8) method2が断然速く解けたので、その有効性をさらにcheckするため有限長のBar electret(問題4.17)についてmethod2を用いると、method1では納得できる結果になるにもかかわらず、どうもおかしな話(E=-P/ε0)?になってしました。これは∇・D=0から直ちにD=0と結論した点が間違っています。D=0と結論するためには∇×D=0も必要な条件ですが、∇×D=∇×Pとなり、高い対称性がないと一般には∇×P=0とはなりません。一様に分極した円柱のどの場所で、∇×Pがゼロでない値をどの方向に取るか?を絵解きで考えました。
意外にもあたかも有限長のソレノイド電流により作られる磁場とのアナロジーが見えました。
(問題4.15では球対称性のために、∇×P=0になっています)
(9)4.4(Linear Dielectric)に進み、用語の説明をしました。真空の誘電率ε0という表現は真空があたかも誘電率ε0を持つある種の線形誘電体であるような印象を与えますが、ε0は単位系の選択により出て来たものに過ぎません。(線形)誘電体については電場EとElectric Displacement D の間にはD=εEという関係が生じますが、これがいかに『電場Eを求めるためには、分極Pから生じる拘束電荷分布を知る必要があり、分極Pを前もって知らなくてはいけない。しかしながら分極Pは電場Eをあらかじめ知らない限り計算できない』という連鎖を切断し問題解法に力を発揮しているか?をしっかり考えてください。
(10)それを実感できる例としてExample4.5相当の問題を解説し(この例でも球対称性のために∇×P=0になっています)、導体が完全な静電遮蔽をするのに対し、誘電体では部分的な静電遮蔽が起こっていることを強調しました。誘電性を特徴着けるεが無限大になると、この部分的な静電遮蔽はどうなったでしょうか?
(11)(8)で議論している有限長のBar electretについて、D、E、Pの場を正確にMathematicaで描く問題(評価点数底上げ)を出してみました。挑戦したい人は11月末までに解答を持って応募してください。
11月8日(後期 第7回目)の講義では
(1)前回、説明し損ねた 電気双極子Pが電場Eの中で、感じるポテンシャル U= -P・ E、受けるtorque N=P×E、電場の勾配により受ける並進の力 F=(∇・ P)E(r) について解説しました。帯電した物体に紙切れ(最初は帯電していない)がなぜ、引き寄せられるか?について、「電場の勾配により受ける並進の力 F=(∇・ P)E(r)」を用いて説明しました。各自で、絵解きで力の方向を確かめ、確かに引き寄せられる点を確認してください。
(2)p183に記述の「点電荷のまわりの全空間が(線形の)誘電体で満たされている例題」を用いて、設定した自由電荷分布ρfと比例関係にある相似形の拘束電荷分布ρbが誘起されることを解説しました。
(3)Assignment#3(その2)として、線形誘電体における拘束電荷の誘起と部分的な静電遮蔽の理解を固めるために、問題4.32(p198)を出しました。
(4)Assignment#3(その1)は、以前予約しておいた(Dipole項による電場E(r)を座標系によらない表式(p155の3.104式)で表す問題3.33です。ただし、3.99式のGradientを取り、公式(3)、(4)などを使いながら導出をすることを条件として付けてあります。
(5)誘電体がある場合の電気映像法の例題として、左半面がε2、右半面がε1の誘電率を持つ誘電体で満たされているとき、境界面から距離dの右半面中に点電荷qを置いたときの、ポテンシャル(電場)を電気映像法により求める解説をしました。境界面で電気変位Dの垂直成分および電場の平行成分が満たすべき境界条件を課すことにより、設定した鏡像電荷の大きさを求め、ポテンシャル(電場)を求めました。さらに誘電体の界面に誘起された拘束電荷密度(σ1、σ2)を求める手続きについて話しました。右半面が真空で(ε1→ε0)、左半面が導体(ε1→∞)となる極限を取ることにより、以前にChapter3(p121)で求めた結果に一致するはずであることを述べました。各自、checkしてみてください。
Assignment#3(その3)として、
(1)拘束電荷密度分布(σ1(s)、σ2(s))の表式を求め、
(2)σ1を境界面について積分し、それが、点電荷qの周りにδ関数的にわき出し部分的に点電荷qをスクリーンしている拘束電荷密度ρ1と大きさが同じで符号が逆であることを確かめ、
(3)電気力線を図に書いてみて(答えは、webにあります)、用いた境界条件がどう満たされているか(電場の垂直成分は不連続!)電気力線は境界でどう変化しているか?を吟味する
を出しました。ただし、提出期限は来週ではなく再来週の11月21日(火曜日)までとします。
11月15日(後期 第8回目)の講義では
これから出かける出張先のFWのため、webが更新できないのでLOGは週明けになります。
アナウンスした計算メモ(1)/(2)/(3)は去年度のものですがUpしましたので、各自で読んでおいてください。(11/16朝)
(1)誘電体の存在下で、電荷分布系のエネルギーをどう考えるかという話から始めました。 後期第6回目で用いた例題4.5相当(設定が少し異なるが本質的には同じ)を再び登場させ、原点に少しずつ電荷を持ってきながら最終的に電荷Qを置いたとき、どれだけの仕事が必要か?を絵解きで説明し、[誘電体の存在下での電荷分布(Free Charge と Bound Charge)の作る電場のエネルギー]と[誘電体の分極内に蓄えられた(バネのイメージを用いました) エネルギー]の2者からなることを説明しました。(演習時間に扱う問題4.26を解いて、テキストP192中段〜P193上段の記述の意味を確認してください)
(2)(線形)誘電体の存在下で電荷分布系が持つエネルギーの表式をテキストに準拠して導きました。エネルギーの表式(式4.58)は(線形)誘電体についてのみ成り立つ表式で、4章のはじめに出て来たFrozen-in Polarizationがありきの設定には使えません。これを体感するために、問題4.27を演習時間に扱います。
(3)誘電体の存在下でのエネルギーが、上述した2者からなることを定量的に示す例題として、原子の分極についてバネのモデルを用いた稀薄気体の例を話しました。
(4)4.4.4にある平行平板コンデンサーに誘電体をインサートした場合のエネルギーと働く力について話しました。誘電体が引き込まれるのはコンデンサー極板の端の電場(Fringing Field)が一様でなく勾配があるためですが、そういった詳細には触れないでもエネルギーバランスを考えることにより引き込む力の計算ができる点を強調しました。(同様な問題が、演習時間に扱う問題4.28にあります)
(5)(A)電荷Q-Fixedと(B)電位差V-Fixedに分けて話をし、(B)では電源がする仕事も勘定に入れないと誘電体が押し出される?間違った結論になってしまうことを説明しました。(A)(式4.64) と(B)(式4.67) で導かれる力は同じく引き込まれる引力ですが、同じx-依存性を持っているでしょうか?考えてみてください。
(6)5 章で残っていた5.4.3 Mutipole Expansion of the Vector Potential に戻りました。
一般的な局在した電流分布の作るベクトルポテンシャルを遠方で評価しました。テキストではルジャンドル多項式の母関数を利用したMultipole Expansion(多重極子展開)を用いていますが、第2項目までしか考えないので、講義では、1/rのベキ展開をテーラー展開して話しました。
1/rの寄与は全電流の和がゼロであるためゼロになります。1/r2の寄与としてMagnetic Dipole(磁気双極子)からなる項を定義しました。
導出計算は上記のように、補助プリントをwebにUPしてありますので各自で読んでおいてください。
(7)次回は、5.4.3 Mutipole Expansion of the Vector Potentialの残りの話をして、6章に入り、誘電体における分極Pの話と同様に、 磁化した物質(磁性体)の作る場について話します。できれば、次回の講義までにベクトル解析公式(問題1.60(b))を各自でcheckしておいてください。
11月22日(後期 第9回目)の講義では
(0)Assignment#3の解説を次回に先送して、前回の「5.4.3 Mutipole Expansion of the Vector Potential」の続きから始めました。
(1)局在した電流分布の作るベクトルポテンシャルをMultipole Expansion(多重極子展開)した時、最初に顔を出す第二項目(1/r2の寄与)を担うMagnetic Dipole moment(磁気双極子 m)の意味するところをわかり易くするため、一般的な表式(5.91 式、p254)を電流 I を持つPlanar loop currentに適用して、磁気双極子 mが、どれだけの電流がどれだけの大きさの領域を回っているかで決まる量(5.84 式、p244)であることを見ました。言い忘れましたが、Multipole Expansion(多重極子展開)における第一項目を担うMagnetic Monopole moment(磁気単極子)が常にゼロであるため、Magnetic Dipole moment(磁気双極子 m)はその計算における原点に依存しません(Electric Dipole momentと比較してみましょう)。
(2)Magnetic Dipole moment(磁気双極子 m)の作る磁場は、Electric Dipole moment(電気双極子 p)の作る電場と全く同じになることを強調しました。各自で、∇×A(dipole)を計算して、Coordinate-free form(5.87 式、p246)を導出してみましょう。
(3)磁気双極子mの作る磁場と電気双極子pの作る電場の空間分布が全く同じなのは、r=0以外のところに限られ、原点近傍での力線の振る舞いはmとpで異なることを絵解きでコメントしました。原点は特異点になっており、r=0についてはδ関数からなる新たな項が必要になります。この詳細については次週に話をします。水素原子は〜 -13.7 eVのエネルギーを持つ基底状態を持ちますが、非常に小さいながら(エネルギー 〜0.000006 eV、振動数1422 M Hz, 波長21 cm)だけ分裂した「超微細構造(Hyperfine structure)」をもち、その説明にはこのδ関数からなる新たな項が必要になります。
(4)つぎに誘電体における分極Pの話と同様に、 磁化した物質(磁性体)はmagnetic dipole momentの密度である磁化M(r)(Magnetization)により特徴づけられ、磁化した物質が作り出す磁場(ベクトルポテンシャル)を計算する際には、磁化M(r)の存在と等価な表面拘束電流密度 K と体積拘束電流密度 J を考えれば良いという話を、誘電体における分極の場合と対比しながら話しました。磁性体におけるミクロなmagnetic dipole momentの成り立ちについては、来年の3年生向けの量子力学2や[後期]の物性論5で話があります。
(5)この拘束電流J&Kの表式を用いて問題6.7&6.8の設定におけるJ&Kを実際に計算してみました。
(6)問題6.8では拘束電流J&Kの総和がゼロになっていましたが、「誘電体の拘束電荷について確かめた総和則(問題4.14:全電荷量はもともとゼロ!)」と同様に、磁性体における拘束電流についても総和則が成り立っているのか?を振ってみました。これをAssignment#4(その1)として予約しました。
(7)数学的導出で求めたJ&Kの表式の物理的な意味付けをテキストに従い与えました。ミクロなmagnetic dipole momentを担っているミクロなLoop電流がどのようにCancelしないかによりマクロな電流 J=∇×M & K=M×n が生き残ります。
(8)次回は、Assignment#3の解説+超微細構造(Hyperfine structure)を担う「磁気双極子mの作る磁場の表式におけるδ関数項」の話をして、テキストp269 6.3 The Auxiliary Field H に進みます。
11月29日(後期 第10回目)の講義では
(0)水素原子における超微細構造(Hyperfine structure)を担う「磁気双極子mの作る磁場の表式におけるδ関数項」の話をしました。量子力学の学習が進んでいる1年後に、水素の1s 基底状態の波動関数が原点で有限の値を持つ意味を、このδ関数項の話を思い出して、考えてください。
(1)Assignment#3の解説(主に(その3)について)をしました。絵解きで説明した電気力線の境界面での屈折が、定性的にTan(θ1)/Tan(θ2)=ε1/ε2(p198問題4.33)に従っていいるかを各自でcheckしてみてください。また左半面のε2を持つ誘電体と右半面のε1を持つ誘電体で、拘束電荷の総電荷量=0のsum rule(総和則)が成り立っていることをcheck する問題ですが、右半面の境界面にわき出した正の拘束電荷と点電荷qの周りにδ関数的にわき出した拘束電荷だけではsum rule(総和則)は成り立っていませんでした(問題の設定が間違っていましたが(Assignmentとしての効果?はあったと思います))。足らない正の拘束電荷は、左半面の場合と同様に、右半面の無限の彼方にあるということになります。
(2)テキストp269 6.3 The Auxiliary Field H に進みました。 誘電体で補助場Dを導入したのと同様に、磁性体では補助場Hを導入すると拘束電流から解放されてfreeCurrentだけを考えれば良いアンペールの法則(微分型)∇・H =Jfreeが得られます。前回の講義では、『拘束電流J&Kを求めアンペールの法則(積分型)を用いて磁場Bを求める(方法1)』を用いて問題6.8&6.9を解きましたが、『H についてのアンペールの法則(微分型)を用いて求める(方法2)』を問題6.8&6.9について使うと断然速く解けることを示しました。これは、誘電体でした話と同じ話です。
(3)しかしながら、方法2は無限長のBar Magnetについては確かにうまく行きましたが、有限長のBar Magnetについては、どうもおかしな話になってしまうがどうしてか?を発問して、円柱の上端&下端面で∇・H ≠0で-∇・Mであることが問題であることを指摘しました。
(4)磁場Bの名前について、Bは「磁束密度(magnetic flux density)」で「磁場の強さ」Hと区別するよう高等学校でならったと思いますが、現在の電磁気学のteachingにおいては『Bを単純に磁場(magnetic field)と呼び、磁性体を含む静磁気学を論ずる際に導入した H は名前を付けず、ただHと呼ぶ』というコンセンサスがあります。
(5)次回は6.3.2 A Deceptive Parallelから話を進めます。有限長のBar Magnet(磁性体)の例題を各自で考えておいてください。
(6)Assignment#4(その1)は予約しておいた「誘電体の拘束電荷について確かめた総和則(問題4.14:全電荷量はもともとゼロ!)」と同様に、磁性体における拘束電流についても総和則が成り立っているのか?を調べよ」です。Assignment#4(その2)は、「 半径Rの球型の磁性体が自発的に(外磁場にさらされることなく)磁化(Magnetization) 分布M(r)=α(r/r^3)を持っているとする。この磁性体の作る磁場(r)の空間分布を磁性体の内外について((方法1)と(方法2)の両方を用いて)求めよ」です。
12月6日(後期 第11回目)の講義では
(1)6.3.2 A Deceptive Parallelから話を進めました。有限長の円柱Bar Magnet(磁性体)の例題でわかるように、補助場Hに対する場の方程式(∇×H=Jfree)を見て補助場Hを磁場Bと平行に扱って良いと思ってはいけません。この例では円柱の上端&下端面で∇・H= -∇・M≠0でした。
(2)Assignment#4の解説をしました。(その1)磁性体における拘束電流についても総和則が確かに成り立っていました。(その2)(方法1)では磁化M(r)の存在と等価な表面拘束電流密度Kbと体積拘束電流密度Jbはゼロになるため、everywhere B=0という答えが出て来ます。(方法2)では∇×H=0、∇・H= -∇・Mは 磁性体球の原点でーα4πδ(r), 表面でα/(R^2)の等価磁荷によると考えて、H=ーMという(everywhere B=0と同じ)答えが出て来ました。
(3)円柱軸方向に一様に磁化した有限長のBar Magnet(磁性体)と円柱軸方向に一様に分極した有限長のBar electret(誘電体)をパラレルに扱い、発生する H、B および E、D を 等価磁荷( -∇・M)、等価電流(∇×M)、等価電荷(-∇・P)、等価磁流(∇×P)の助けを借りて作図しました。これらH、B、E、Dの力線の形を見ながら相違点と類似点は何か? BとHの力線を正確に描く場合にはBおよびHについての境界条件をどう吟味すると良いか?を今一度、考えて見てください。
(4)誘電体で、Dについてのガウスの法則(微分型)を立てる際に、体積拘束電荷密度ρbを-∇・Pとして∇・(ε0E+P)=ρfの形で取り込んでも表面拘束電荷密度σbを考慮していなかったこと、同様に、磁性体で補助場Hについてのアンペールの法則(微分型)を立てる際に、体積拘束電流Jbを∇×Mとして∇×(B/μ0 - M)=Jfの形で取り込んでも表面拘束電流Kbを考慮していなかったことを、指摘し、どうしてか?を発問しました。体積&表面拘束電荷密度が出てくるp167、および体積&表面拘束電流密度が出てくるp264での議論の流れを見て、今一度考えてみましょう。
(5)電気感受率χeがEに対するPの応答の仕方として定義されたことに対応して、磁気感受率χmもBに対するMの応答の仕方として定義されるように思えますが、実験室でコイルを流れるfree currentを制御してHを制御しその結果、コイル内の物質の磁化Mが決まりBが定まる状況では、習慣として、磁気感受率χmはHに対するMの応答の仕方として定義される点を説明しました(コンデンサーでfree chargeを制御するわけではなく、極板間の電位差を電源で制御してDではなくEを制御している点に注意してください)
(6)次回は、7章に戻り、誘電体&磁性体の存在下でのMaxwell方程式に簡単にふれて、9章の電磁波に移ります。8章にあるファイマンパラドックスの話は、あらかじめ系に蓄えられていた電磁的角運動量が力学的角運動量に移行するため物体が回転を始める現象で、一見すると回転に伴う力学的角運動量がどこから来たのか?不思議に思えるためパラドックス?と称されています。大変面白い話ですが、今年はこれについては話さず、残り年内2回の講義は9章の電磁波について話します。
12月13日(後期 第12回目)の講義では
(1)7章に戻り、誘電体&磁性体の存在下でのMaxwell方程式(7.55式)を導出しました。誘電体&磁性体の存在下での静電場、静磁場を考えた際に導入した分極電荷(-∇・P)、磁化電流(∇×M)に加え、新たにSourceとして加わったのは分極電荷の時間変化に共役な電流(分極電流polarization current)でした。誘電体&磁性体の存在下でのMaxwell方程式(7.55式)の満たす境界条件(テキストp331)については、電磁波の話をする際に言及します。
(2)Maxwell方程式(7.42式)を見ると、電場と磁場は電荷と電流をその源(Source)として持ち、さらに相互の時間変化(Maxwell項、ファラデー項)を加えて場が作られると読めますが、電場と磁場は絶対的なものではありません。たとえは十分ではありませんが、人間の顔のようなもので、正面と側面では、一つの実体である「人間の顔」が異なる見え方をします。電場、磁場も絶対的な意味を持つ訳ではなく、電磁場という一つの実体の異なる見え方であると言えます。それらを体感してもらうために、簡単な例を用いて、電磁場と相対論の関係についての導入的な話をしました。F系とF’系で座標系を変えると、電場、磁場の現れ方、および、場の源である表面電荷密度と表面電流は大きく変わりました。しかしその結果は、『F系とF’系で座標系を変えても、点電荷に力が作用せず加速度運動をしていないという物理的状況は同じである』ということと整合するものでした。(Maxwell方程式はローレンツ共変性を持ちます)既に相対論の講義でこの点についても話を聞いているかと思いますが、是非、12章(p477〜)特に、p522 の 12.3 Reativistic electrodynamicsを読んで、「Deep undestanding of the structure of electrodynamics」を卒業するまでには味わってほしいと思います。
(3)電磁場を含めたエネルギー保存則を表すPoyntingの定理を、その導出自身はテキストに任せ、電荷保存則との対比をしながら説明し、webマテリアル『変位電流は磁場をつくるか?』で用いた平板コンデンサーへの(一定電流による)充電過程を再び例にとり、Poyntingの定理が確かに成り立っていることを定量的にcheckし始めたところで時間切れでした。
(4)次回は、Poyntingの定理の続きを話して、時間のある限り、電磁波の話をします。
12月20日(後期 第13回目)の講義では
(0)webマテリアル『変位電流は磁場をつくるか?』で用いた平板コンデンサーへの(一定電流による)充電過程で、Poyntingの定理が確かに成り立っていることを定量的にcheckする話の続きを後回しにしました。(時間切れになったので、ここの話は、試験範囲から外します)
(1)テキストp375に進み電磁波に入りました。テキストでは前の章で、波動についての簡単なまとめをしていますが、振動&波動のミニマムは押さえておいてください(振動数ω、波数k、分散関係ω=ω(k)、初期位相と複素振幅、 平面波、位相速度Vp、群速度Vg、非分散性の波動(Vp=Vg)、分散性の波動(Vp≠Vg)、 etc )。
(2)Maxwell方程式(9.40式)から電場および磁場が波動として空間を伝搬することを表す(separateした)波動方程式(9.41式)が得られ、一見すると電場と磁場は独立な波動量で、縦波/横波も取りうるように見えますが、そうではありません。
(9.43式)のように波数k、振動数ωでz方向に伝播する平面波を解として設定し、Maxwell方程式∇・E=0、∇・B=0を当てはめると横波であることがわかります。さらに、Maxwell方程式∇×E= .....を当てはめることにより、電場と磁場は相互に直交し、E×Bの方向に同位相で伝搬し、その大きさについてはB=E/cの関係があることがわかります。
(3)波動方程式(9.41式)の解として得られた電磁波の伝播を絵解きで考えてみました。磁場の時間変化は相手方の電場の空間分布(渦度)∇×Eで決まり、電場の時間変化は相手方の磁場の空間分布(渦度)∇×Bで決まるという、電場と磁場が相互に絡み合いながら伝搬して行く様を理解してください。
(4)後期の授業はこれで終わりです。授業中に言及したように時間不足で話ていない内容が多くあります。是非、3年生で電気力学、光学1を受講してください。
(5)では一年間ご苦労様でした。