電磁気学に関するカリキュラムデザインについて聞きました (2007後期1回目Webアンケートより)
「高校で学習する電磁気学」と、「Griffithsのテキストを用いた中級レベルの電磁気学」をつなぐ授業として、1年時にどのような講義があると、電磁気学の習熟度が高まると思いますか? 1年時の学生実験1で取り上げられている電磁気学関連の実験題目の設定にも言及しながら、みなさんの意見を聞かせてください。
今後の物理学科の電磁気学関連のカリキュラムデザインを考える上で、非常に参考になりました。2008年度の物理学ではこれらを反映して、講義の設計をしたいと思います。
物理 満田
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今僕たちがやっている電磁気の講義を一年のときにやっても、数学的処理の解説をしっかりやれば問題ないと思います。二年で重要な科目が多すぎて大変なので一年での負担を増やしても問題ないとないと思います
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1年の電磁気関連の実験は、高校で扱った内容が多いと思います。アンペールの実験のように、高校で扱ってないような内容の実験をすれば授業時に役に立つと思います。
・ 1年の時から,電磁気に触れる機会がほしい。
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1年時から必修じゃない電磁気学に向けての講義を設ければ自信がない人は履修すると思います。必修じゃなければ重荷にもならないのでいいのではないでしょうか。むしろ単位もなくていいかもしれないです。ゆっくり繰り返しやれば自然と身につくきがします。
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物理入門コースの電磁気学1などの簡単なテキストを使って、電磁気学を一通りやってしまう。電磁気学は理解するのが難解であると思うので、2回やるくらいがちょうど良いと思う。実験と関連させたいのなら、実験題目に関する講義を90分かけて行なう。生物系の学部学科では、実験前に講義があることは多いし。実験に関しては、正直、熱意が欠けていると思う。
・ ベクトル解析について、しっかりと学ぶ機会がほしかった。
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高校の電磁気は丸暗記が多いので、数学を用いた物理は難しく感じます。一年生のうちにベクトル解析の計算をきちんとできるように、演習を踏まえた講義が必要かと思います。
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1年の実験に電磁気を題材にした実験があるのは有益であると思います。自分たちは、物理学と物理数学で学んだためにある程度電磁気の内容の大枠が分かっていたので、2年前期の電磁気学がかなり楽になったと思います。ただ、当時物理学担当だった徳永先生も授業中におっしゃっていましたが(もちろん物理数学にも言えるのですが)、扱う内容が多すぎて、授業もすごく駆け足で進んでいき、かなりの部分を自習しないといけなくなって重過ぎました。その辺のことも考えながら個人的には電磁気学の初歩を扱う(半期全部かける必要はない)授業があっていいと思います。先生が授業でおっしゃってしたように振動などを扱う授業も欲しいですが…力学とか量子力学などで波動の話が出てきた時に時々困ることがあるので…。
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物数のベクトル解析のとき、電磁気で使うっていってたけどどこで使うのかわかんなかったので、もっと電磁気に触れてやってほしい。もっと単位のとりやすい電磁気学序論をやるべきだと思う。
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ダイオードやトランジスタの仕組みを講義で取り上げてから、電子回路の実験に向かいたいところです。高校ではほとんど取り扱わなかったので。
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電磁気の勉強も、ベクトル解析の知識もないまま、アンペールの法則の実験はむずかしいと思う。あの時にレポートは出したが、本当に理解(?)したのは二年になってからだと思う。一年生の時にほしい授業としては、マックスウェル方程式の導入を丁寧に教えてもらえる授業があればよいと思う。
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ベクトル解析が電磁気にどのように関係してくるのかということを目的とした授業を行うべきである。いきなり英語だととっつきにくい。また1年でやる物数の授業でやるが、あくまで数学的なことであってつながりが見えにくい。
・ 電磁気学の序論を話すような講義。学修簿には書いてあるが行われていないのは残念です。
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自分が電磁気学で最初に戸惑ったのはベクトルの概念です。一年生の物理数学でもう少しベクトル解析について取り上げたほうが良いような気がします。
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ベクトル解析の演習や、ベクトル解析の電磁気学の簡単な問題への応用があるとベクトル解析の意味が分かりやすいと思う。またガウスの法則やストークスの定理なども説明と証明だけでなくもう少し具体的な問題があるとイメージがつかみ易いと思う。とはいえ僕は現状でも問題はないと思う。また1年のときの電磁気学関連の実験は1番最初のグループに当たると意味がよく分からず、アンペールの法則なども数学が意味不明なままやっていて、あまり電磁気学のイメージももてなかったので、その辺りが工夫できるとよいと思う。
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高校生の時には、物理の授業でベクトルが使われることが全くありません。内積はともかく、外積の概念は高校を卒業したばかりでは、わかりにくいと思います。ですが物理数学1では、数学の計算と、力学での実例が主になっています。なので、どのような場合に内積が、どのようなときに外積が用いられるのかを、電磁気学の実例で練習させると良いと思います。
・ 物理数学の電磁気での使い方を少しは練習するとわかりやすいかもしれません。特にベクトル解析の使い方。
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今年前期にやった内容をもう少し砕けた感じの授業なら1年生でもできると思います。実験は、電磁気学の授業をうけてから、むしろやりたいくらいです。いきなり習ってないものを実験しても負担が大きくあまり意味がないと思います。
・ 日本語の教科書をつかいながら磁場や電場の様子など基本的な高校で学習したことを大学でつかう数式で表現するなどの授業。
・ 特に思い浮かびません。
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高校の復習に加え、ある程度の定理は一年で教えてしまって、二年でその導出について詳しくやった方が、同時に覚えるよりも覚えがいいと思います。Griffithsはただでさえ英語で書かれており内容も始めて見る定理ばかりだったので、何が何だかわかりませんでした。ですから、ある程度の定理を先取りすることで、Griffithsを読むときにそれほどの抵抗感は感じなくなると思います。
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物理数学でやったベクトルなどの授業は具体例があまり無く何のためにやっているのか良く分からないところがあった。もう少し具体例が必要だと思った。逆に実験ではどうしてこうなるのかが良く分からなかった。とにかく順序などをもっと考えて欲しい。
・ 序論などで高校の範囲の軽い復習的な要素を含んだ講義があってもいいと思う。
・ 数式や難しい概念よりも、図や動画など視覚的に理解できるようなものを多く取り入れた授業があればいいと思います。
・ 電磁気で使うような数学を1年でもっとしっかりやってほしかったと思います。なので、電磁気の講義ではなく数学を重点的に。つまり、物理数学の授業で電磁気でよく使うナブラ演算子の意味などをもっとちゃんと教えるべきだと思います。そのことで、数式が理解できるので、電磁気の理解もより深まると思います。
・ 1年生の授業でベクトル解析学をもう少し突っ込んだことをやってもらうと良いと思います。1年のときに受けた渡辺先生の物理数学はハッキリ言って、分かり難い上に時間配分を間違えていたらしく時間が5~6回しかやっていなかったため、意味が良く分かりませんでした。そのため提案として、1年の時に具体的(電磁気)な例を挙げて、こんな意味があるんだよ、ぐらい教えて欲しかったです。
・ わりとすんなり入れたので、よくわからない。
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高校の電磁気の大まかな復習と、2年でやる電磁気を詳しい数学を使わずに、感覚的に理解できるような授業があるといいと思う。特に後者は大学でやる電磁気のうち、高校の知識では素直に受け入れずらい内容を、簡単な言葉で説明していただけると幸いかと思う。
・ Griffithsに書いている概念自体は、ちゃんと読めばわかりますが、計算とかが最初はできなかったです。一年の演習でベクトル解析をもう少し扱ってくれると助かります。
・ 2章、5章あたりまで
・ 現代的ベクトル解析の講義:高校で曖昧に教えられたベクトル(=向き付きの量)の延長上でただ∇の使い方だけを教える非常に狭いベクトル解析の講義はやめ、ベクトル空間の元としてのベクトル、そこにおける解析を展開する講義を行えば、ベクトルは分かるけどテンソルは理解できない、テンソルと行列の区別がつかない、導関数が行列(線形作用素)になることが理解できない、といった人はいなくなり物理現象のモデル化や理解に大いに役立つと思うし、この概念は他の分野の理解にも貢献する。その意味での理解があれば、計量や演算子等に戸惑うことも、ヒルベルト空間やフォック空間等に身構えることもなくなる。
・ Griffithsは電場等を表す時に(r-x)等表すべき所をR等の一文字で表してしまっているのでそこに本来あるはずの物理的意味と数学的意味が区別できずその意味での混乱を招くと思う。積分範囲にも境界作用素を用いるべきだ。
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アンペール・ビオサバールなどの実験を一年時にやるのは電磁気学のイメージができていいと思います。ですが、人によっては、実験の順番の関係で、アンペールの実験の周回積分などの計算をまだ授業で習わないまま実験をしなければいけません。そうならないために講義の順番などを考えてもらいたいです。
・ 2年の電磁気で花文字rが突然出てくるので、花文字rと花文字r'などの違いなどが曖昧なまま進んでしまっている気がします。履修簿に『電磁気学序論』という授業名があったのでたぶん以前には高校とGriffithsの電磁気をつなぐものがあったのではないのでしょうか?1年間離れていると忘れてしまうことも多いので、『電磁気学序論』をまた設けてほしいです。
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一年次は、「物理学」で電磁気にも少し触れるといった具合であったが、それだけで二年の電磁気に持っていくのは非常に困難である。したがって、電磁気の法則や、ニュアンスを伝えるための「電磁気概論」のようなものを、一年でやって、積分などをつかった具体的な計算などは、一年次に技能を身につけた後で二年でやればいいと思う。
・ ベクトル解析を使わない内容でおこなえばいいと思う。
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必要な数学を習っているので、それが実際どう運用されるのかを簡単にでも、2年からではなく習いたてのころに見せたほうが数学の理解も深まると思う。実験も授業と平行で行ったほうが、どんなデータをとるべきかといった事が学生自身で考える助けになると思う。
・ ベクトル解析をかけ足で習った感が否めないので、もっと丁寧に習いたかった。
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高校で学習する電磁気学の復習・確認となるような講義が少しあると、忘れていたことも思い出せてスムーズにgriffithsに入れると思います。
・ 去年の物理学でガウスの法則等を学んだので、電磁気学の最初の内容はよく理解できました。
・ 去年行ったUNIVERSITY
OF PHYSICSで電磁気学の内容をやっていたためすんなり電磁気学の講義に対応できた.物理学序論はいらないのでその時間にUNIVERSITY
OF PHYSICSでの物理学序論という感じでやってくれるとありがたい.今の一年生は全ての題目の実験を行っていないようですが,ぜひ,全ての実験をやっていたほうが良いと思う.
・ 自分は物理数学1のベクトル解析と学生実験内の電磁気関連の実験題目で十分電磁学の授業に入っていけました。電磁気学の習熟度の点では前期の週2回の授業は早足に感じられ、ついていくので手一杯な感じだったので、1年時に電磁気学(学生実験に関する内容(ベクトル解析をやったすぐ後なら理解するのはそんなに困難な事ではないと思います。))を講義で行い、2年時の週2回の授業を1回にし、長い期間をかけて電磁気学を履修する方が理解が高まるのではないかと思います。
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電磁気学の歴史的な流れを説明する授業を1年次に行って、そこである程度の有名な式を紹介した後、2年次に数学的に厳密なやり方で電磁気学の理論体系を追っていくのがいいと、個人的には思います。
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高校の電磁気学では微積分は全く使わないので、微積分やベクトル解析を使った電位や電場を求めたりすることに慣れる講義があればよいと思います。また、1年の実験でアンペールやビオ・サバールの法則がありましたが、講義で習っていないので実験の趣旨があまりよく理解できない気がしました。
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ベクトル解析の演習も必要ですが、複素数の演習もあるといいとおもいます。今の高校のカリキュラムでは複素平面がなく、虚数のパワフルさを実感出来ないので、虚数のありがたみを実感させる機会を増やしてみるのもいいかと思います。
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高校では電磁気でベクトル解析を使っていないので、ベクトル解析を習ったからといって急に電磁気学で応用しようとすることは困難である。高校レベルの問題をベクトル解析で解く訓練を行い電磁気学に入ることが望ましい。
・ ベクトルの微分を電磁気と絡めて物理数学よりも深く取り扱う。
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特に必要ないと思うが、どうせ物理学の講義で電磁気をやるならもっとしっかりやってほしかった。1年の物理学ではガウスの法則とアンペールの法則しかやってなかったと思う。ただ公式だけで概念的な説明がほとんどなかった。1年の物理学ではもっと物理的なイメージを伸ばすような講義のほうがいいと思う。
・ 電磁気学に1年間ほぼ触れないことが何よりもいけない。
・ 電磁気演習や物理数学演習などの演習授業。あと、先生を選べるシステム。
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ベクトル解析の基礎、数学の基礎が必要だと思う。電磁気と直接関係ないようなとこでつまずくのはとても負担で、電磁気をさらに分かりにくくする。高校出たてで、ベクトル解析の概念はとてもなじみがなく新しいものだから1年の授業でじっくりやってほしい。昨年は、物数1の授業の最後のほうになってかなり駆け足でやり、みんなもよくわかっていなかった。物数1も量が多くて仕方なかった。
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定性的な話を中心にした授業があると良いと思います。具体的には物理学の授業でそういったものがあると良いと思いましたが、去年までの物理学の授業ではそれが十分に発揮されていなかったように思います。1年の実験では今まで通りでよいと思います。
・ 生徒が面白いと思えるような授業をするのが一番だと思う。
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ベクトル解析についての講義は必要だと思います。あと、アンペールの定理、ビオサバールの法則などは、電磁気学をやる前にやっても何がなんだかわからなかったので、あれは2年の実験にしたほうがいいのではないでしょうか。今になってみると、すごい理解できます。
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難しい質問ですね。まずは、物理数学をもっとじっくり学習するのが良いと強く感じます。物理数学1・2ともに、単位は取れはしましたが、かなり早足で消化不良が多いのも否めない事実だと思っています。電磁気学の内容でどのような内容だと?という質問にはちょっと分かりません。確かに「つなぎ」の授業は必要だとは思います。
・ ベクトル解析の習熟度が高いとすんなり理解できると思うのでベクトル解析を取り入れた授業をしたらいいと思います。
・ 前の物理学の講義(去年までuniversity
physicsを用いていた一年の必修だった課目)であったような、そこまで高度な数学的技法を用いないが高校時にあまり触れていない法則などを取り扱う電磁気の講義が良いのではないか。去年の物理学の講義では電磁気内容は全体を大まかにやっただけだったので、そのような内容の電磁気学をもっと時間をかけて行ってもよいと思う。
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数式は伏せておいて、ベクトルポテンシャルの寄与が測定データに現れるような実験を学生さんに行ってもらい、2年時にその中身を理解してもらう。
・ ・等電位線を描く実験があったと思うけど、あれは高校でもやるようなことなので、何か違う題目に置き換えたほうがいい。
・ 物数でベクトル解析をやる時、もっと電磁気に絡めた例題を増やしたほうがいい。
・ 3年で行う電気力学の授業を2年で行う。また、1年次にもっとみっちりベクトル解析の授業を行うといいと思う。
・ Griffiths自体、最初の段階では高校分野でわかるところなので自分としてはいままでのように物理数学などでのベクトル解析やテキストにMaxwellの方程式を載せて行くの十分だとは思うのですが。ひとつあげるとすれば、スカラーとベクトルの区別をしなければならない問題を多くすることだと思います。はじめのうちの電磁気では電場E、磁場Bをベクトルであらわすのは戸惑いました。