■ 単結晶によるX線回折〜Laue Method〜
目的: X線の発生および結晶による回折機構を理解し、これに基づいてラウエ法を用いて単結晶の結晶方位の決定法を学ぶ。
・実験課題
白色X線を試料(Mo単結晶)に照射し、反射X線をポラロイドフィルムに記録する。
得られた干渉図形の斑点の指数付けを行い、その試料表面のミラー指数を決定する。
・原理
詳細な議論を省略して結果だけいえば、薄膜の干渉と同じで、
規則的な結晶格子の中にある平行な原子面の間で、光の干渉がおき、光路差が波長の整数倍に
なったときのみ光が強めあい、回折線が現れるという事ができる。(正確な言い方ではないが)
今、白色X線(様々な波長の混ざったX線)が照射されているので、試料の中にある原子面があったとき、
必ず回折が起こるようになっている。その回折スポットを見て各原子面がどちらの方向を向いているのかが分かる。
ただし、Moの結晶構造が体心立方格子であることは既知とする。
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<<逆格子ベクトル>>
「逆格子ベクトル」を用いると、結晶中の平行な原子面の組をまとめて表すことができる。逆格子ベクトルの基底定義は下のようなもの(およびその循環式)で、
それぞれに整数の組(h、k、l)をかけたベクトルGはある原子面に垂直なベクトルである。
よってある平行な原子面軍は、まとめて「hkl面」と呼ぶ事ができる。
(a1,a2,a3は結晶の基底ベクトル)
<<ラウエの反射条件>>
ラウエの反射条件は入射波の波数ベクトルk0と、反射波の波数ベクトルk、逆格子ベクトルが次のような関係になるときに
反射が起こる事を示している。
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また、hkl面の逆格子ベクトルの大きさはその面群の面間距離の逆数であり、このことからBraggの式が導かれる。
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、Braggの式
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<<構造因子>>
これらの散乱条件式は回折線が現れる位置のみを予測する。しかしこれだけでは実験とは合わない。
「構造因子」というものを考慮すると、体心立方格子ではh、k、lの和が偶数になるときのみ回折線が現れる事が分かる。
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