2025年11月と12月、東京理科大学野田キャンパスにおいて、教養教育研究院野田キャンパス教養部のミシェル田中 グザヴィエ助教が、二基の古代製鉄炉を復元し、考古学実験を実施した。実験の目的は、炉壁材料(粘土・稲わら)の調整が操業に及ぼす影響を検証するとともに、古代製鉄に必要なインフラや労力を推定することにあった。2024年度実験の成果を踏まえ改良を加えた結果、今回は良質な鉄(主に銑鉄)の生産に成功した。
1号炉は、中国地方に見られる古墳時代末期の製鉄炉をモデルとし、日本最古級の製鉄技術の復元を試みたものである。2号炉は、野田キャンパス近隣の流山市東深井・中ノ坪第II遺跡を参考とした奈良時代の半地下式竪型炉であり、関東最古級の製鉄炉の復元を目指した。
本実験では、出土資料を参考に、植物性繊維を混ぜた炉壁土づくりから着手し、約1トンの粘土採掘・調整、小屋の建設、燃料準備まで含め、古代製鉄を支えた技術体系全体を再現した点に特色がある。こうした条件を含めた復元実験は国内でも希少である。
11月の1号炉実験では約9kg、12月の2号炉実験では約6kgの銑鉄生産に成功した。送風孔の角度や炉壁構造、植物性繊維量などの改良が成果につながった。これにより、同種の古代炉でも銑鉄生産が可能であったことを示唆する成果が得られた。
今回生産した銑鉄については、今後脱炭・鍛錬工程の実験も視野に入れ、古代鉄生産技術と地域共同体の知識体系の理解深化につなげる予定である。本研究は、考古学・技術史・実験考古学を横断する特色ある研究活動として展開されており、古代技術の復元を通じて学術研究と教育実践の双方に資する取り組みとしても意義を有している。













