公募研究班 | 植物の成長可塑性を支える環境認識と記憶の自律分散型統御システム | 新学術領域研究

公募研究班

平成30年4月より、以下の19の公募研究班が、計画研究班とともに本新学術領域を推進して参ります。

 
有村班
植物間コミュニケーションが制御する植物の防御応答の記憶システム
打田班
篩部で中継される成長・環境応答シグナルの解析
遠藤班
維管束を利用した時間情報共有
メカニズムの解明
川崎班
イネのパターン誘導免疫と
免疫プライミングの分子機構の解明
木羽班
維管束を介したサイトカイニン情報の
長距離伝播の仕組みと役割
木村班
水陸両生植物の水環境への適応に寄与する
環境応答統御システムの解析
西條班
ポリコーム複合体による全身性植物免疫記憶の
制御機構の解明
清水班
季節性のない熱帯雨林での時系列トランス
クリプトームによる環境認識・記憶の解析
寿崎班
根粒共生における窒素栄養応答システムの解明
関班
アンチセンスncRNAを介した植物の
環境ストレス認識・記憶システムの解析
高野班
病原糸状菌の局所的侵入に対し自律応答する
植物生体防御システム
高橋班
水分ストレス応答を制御するペプチド -
受容体による長距離シグナル認識機構の解明
竹澤班
コケ植物を用いたABA、低温および
浸透圧応答の統合的制御に関する基礎研究
玉田班
植物の自律分散型記憶を統御する
クロマチンステートの解明
千葉班
環境ストレスからのリカバリーと記憶に関わるmRNA分解制御
豊田班
根-地上部間を伝搬する
高速カルシウムシグナルの分子基盤
野田口班
植物の長距離移行性RNA分子と
全身性環境応答に関する研究
藤井班
アブラナ科の自他花粉識別における
生理応答機構の可逆性の解明
松下班
光環境情報に基づくタンパク質細胞内局在
パターンの制御と短期記憶
山口班
ヒストン脱メチル化酵素JUMONJIによる高温を記憶する分子基盤の解明

有村班 植物間コミュニケーションが制御する植物の防御応答の記憶システム

  • 研究代表者 有村 源一郎 東京理科大学基礎工学部生物工学科・准教授
    連携研究者 松永 幸大 東京理科大学理工学部応用生物科学科・教授
    連携研究者 坂本 卓也 東京理科大学理工学部応用生物科学科・助教
    有村 源一郎
    有村 源一郎
    害虫に食害された植物は他生物との相互作用を促す匂いを大気中に放出する一方、近くの健全な植物はこれらの匂いを「立ち聞き」し、次に被る食害などの刺激により防御応答が強く活性化される。申請者らは、アロマ植物から放出される香り成分および食害された植物から誘導される揮発性テルペンが制御する植物間コミュニケーションにおける防御応答の記憶・プライミングの制御メカニズムの解明を目指す。

打田班 篩部で中継される成長・環境応答シグナルの解析

  • 研究代表者 打田 直行 名古屋大学トランスフォーマティブ生命分子研究所・特任准教授
    打田 直行
    打田 直行
    多細胞生物である高等植物が全身的に協調した成長を達成するための長距離シグナルの実体や作用メカニズムには不明な点が多い。茎全体の協調的な伸長の制御では、茎の内皮細胞から分泌されるペプチドホルモンが、その受容体によって篩部伴細胞で受容されると、篩部伴細胞から茎全体の協調した伸長を導くさらなるシグナルが発生する。本研究では、この篩部伴細胞で生まれるシグナルの実体の解明を目指す。また、このペプチドホルモン経路が低温下での受粉達成のために機能していることも見出しつつあるので、この解析も行う。

遠藤班 維管束を利用した時間情報共有メカニズムの解明

  • 研究代表者 遠藤 求 奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス研究科・教授
    遠藤 求
    遠藤 求
    植物の概日時計はさまざまな局所的に受容した様々な環境情報を何らかの形で全身へと伝えることで、協調した概日リズムを可能にしている。しかし、どのようにして長距離の時間情報伝達を可能にしているかについてはほとんど明らかにされていない。本研究では地上部と根の間でのフィードバックループの存在を明らかにすることを目指す。特に、環境変動が比較的穏やかな根において時間情報が記憶され、それを栄養という形で根から地上部へ伝えている可能性を検証し、その分子メカニズムを明らかにする。

川崎班 イネのパターン誘導免疫と免疫プライミングの分子機構の解明

  • 研究代表者 川崎 努 近畿大学大学院農学研究科・教授
    連携研究者 山口 公志 近畿大学大学院農学研究科・講師
    	川崎 努
    川崎 努
    植物は、病原菌の構成成分を分子パターンとして認識し、迅速な防御反応を誘導する。さらに、植物は、過去の病原菌の感染情報を記憶し、病原菌の二次感染に対して素早く防御応答を誘導できる免疫プライミング状態を誘導する。この免疫プライミング状態は、「免疫記憶」として捉えることができる。また、免疫プライミング状態は、植物免疫活性化剤によっても誘導されることが知られているが、その分子機構は不明である。本研究では、イネのパターン誘導免疫ならびに免疫プライミング誘導の分子機構の解明を目指す。

木羽班 維管束を介したサイトカイニン情報の長距離伝播の仕組みと役割

  • 研究代表者 木羽 隆敏 名古屋大学 生命農学研究科・准教授
    連携研究者 榊原 均 名古屋大学 生命農学研究科・教授
    木羽 隆敏
    木羽 隆敏
    サイトカイニンは植物の成長・発達の様々な段階で不可欠な働きを担う植物ホルモンであり、局所シグナルとして作用するだけでなく、維管束を介して長距離輸送されて器官間(長距離)シグナルとしても重要な役割をもつ。本研究では(1)サイトカイニンの維管束への積み込みの分子メカニズムと(2)サイトカイニン長距離輸送の制御とその生理的役割を明らかにすることにより、維管束を介した植物ホルモン情報の長距離伝搬による個体統御機構の解明を目指す。

木村班 水陸両生植物の水環境への適応に寄与する環境応答統御システムの解析

  • 研究代表者 木村 成介 京都産業大学 総合生命科学部 生命資源環境学科・教授
    連携研究者 鳥居 啓子 名古屋大学 トランスフォーマティブ生命分子研究所・客員教授
    連携研究者 坂本 智昭 京都産業大学 総合生命科学部 生命資源環境学科・研究助教
    連携研究者 池松 朱夏 京都産業大学 総合生命科学部 生命資源環境学科 ・研究員
    木村 成介
    木村 成介
    北米原産の水陸両生植物 Rorippa aquatica は、顕著な異形葉性(葉の形態の表現型可塑性)を示し、気中と水中で全く異なる形の葉を発生する。水中では、葉身が針状の羽毛のような形 になり、気孔の形成が抑制されることで、水没という環境変化に応答している。また、R. aquatica の 一部の系統は、春化処理に応答して花を咲かせる能力を失っており、自然条件下では、葉の断面から不定芽を形成することで無性的に繁殖している。このような性質も、受粉による繁殖が難しい水環境への適応に寄与していると考えられる。本研究では、R. aquaticaをモデルにして、水陸両生植物の水環境への適応に寄与する環境応答統御システムを解析する。

西條班 ポリコーム複合体による全身性植物免疫記憶の制御機構の解明

  • 研究代表者 西條 雄介 奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス研究科・准教授
    連携研究者 田島 由理 奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス研究科・特任助教
    西條 雄介
    西條 雄介
    植物は病原体の認識部位で免疫応答を誘導するとともに、長距離移行シグナルを介して全身で免疫を活性化させる。その際、免疫応答を記憶化し、二次感染に備える(プライミング)。プライミングには転写促進型のヒストン修飾に加えて、転写抑制型のヒストン修飾(H3K27me3)が必要であることをこれまでに見出した。特に、H3K27me3修飾を担うポリコーム複合体の作用機序ならびに異なるヒストン修飾が協調的に働く仕組みの解明を進め、植物免疫関連遺伝子の発現制御機構や免疫記憶の成立機構に迫る。

清水班 季節性のない熱帯雨林での時系列トランスクリプトームによる
環境認識・記憶の解析

  • 研究代表者 清水 健太郎 横浜市立大学 木原生物学研究所・客員教授
    連携研究者 工藤 洋 京都大学生態学研究センター・教授
    連携研究者 爲重才覚 横浜市立大学 木原生物学研究所・特任助教
    清水 健太郎
    清水 健太郎
    植物の遺伝子ネットワークは、野外の複雑な変動環境に適応したものであるため、従来のような実験室の制御環境の実験だけでは、植物が実際にどのような環境刺激を認識し記憶しているかを解明しきれないことが指摘されてきた。我々は、野外変動環境in naturaでゲノムワイドな遺伝子発現と気象データを解析する手法を開発してきた。本研究ではとくに、季節性の薄い熱帯雨林での環境応答の解明を目指す。

寿崎班 根粒共生における窒素栄養応答システムの解明

  • 研究代表者 寿崎 拓哉 筑波大学生命環境系・准教授
    連携研究者 川口 正代司 基礎生物学研究所・教授
    寿崎 拓哉
    寿崎 拓哉
    マメ科植物は、窒素固定細菌である根粒菌を根粒と呼ばれる器官に細胞内共生させることで、安定的に窒素源を得ている。根粒器官形成や根粒菌による窒素固定反応には多くの光合成産物が消費されるため、土壌中に硝酸などの窒素栄養が十分量存在するときには、根粒共生を止めることで根粒共生にともなう炭素源の流出を防いでいる。本研究は、マメ科のモデル植物ミヤコグサを用いて、硝酸に応答した根粒共生抑制制御システムの全体像を解明することを目指した研究を行う。

関班 アンチセンスncRNAを介した植物の環境ストレス認識・記憶システムの解析

  • 研究代表者 関 原明 理化学研究所 環境資源科学研究センター 植物ゲノム発現研究チーム・チームリーダー
    連携研究者 松井 章浩 理化学研究所 環境資源科学研究センター 植物ゲノム発現研究チーム・研究員
    関 原明
    関 原明
    本申請代表者らは、アンチセンス鎖に存在する非翻訳型RNA(アンチセンスncRNA)がセンスRNAの分解産物を鋳型として 新規な経路でRNA依存性RNAポリメラーゼ (RDR)1/2/6により生成する事を見出すとともに、アンチセンスncRNAが環境ストレス適応・記憶に関与する事を示唆するデータも最近得ている。本課題では、環境ストレス誘導性のアンチセンスncRNAに着目し、生成に関わる新規な因子を同定し、アンチセンスncRNAを介した植物の環境ストレス適応・記憶システムの解明を目指す。

高野班 病原糸状菌の局所的侵入に対し自律応答する植物生体防御システム

  • 研究代表者 高野 義孝 京都大学大学院農学研究科・教授
    高野 義孝
    高野 義孝
    高等植物は、自身に適応していない植物病原糸状菌に対し非常に頑強な抵抗性を示す。本抵抗性システムは、不適応型菌の局所的侵入を阻止する抵抗性と、万が一侵入された場合に活性化し菌の進展を防ぐ抵抗性、から成る多層構造を有している。後者の抵抗性は「侵入後抵抗性」と呼ばれ、植物における切り札的な生体防御機構として捉えることができるが、侵入後抵抗性の分子的背景は不明な点が多い。本研究では、糸状菌の局所的侵入に対して新たに活性化される、この自律的・局所的植物免疫系の分子基盤の解明を目指す。

高橋班 水分ストレス応答を制御するペプチド - 受容体による
長距離シグナル認識機構の解明

  • 研究代表者 高橋 史憲 理化学研究所 環境資源科学研究センター 機能開発研究グループ・研究員
    連携研究者 篠崎 一雄 理化学研究所 環境資源科学研究センター・センター長
    高橋 史憲
    高橋 史憲
    水分ストレス応答は、乾燥などの環境ストレスに対する初期応答として重要な、ストレス感知メカニズムである。水分ストレスシグナルは、根から地上部に素早く伝達され、葉において植物ホルモン「アブシジン酸(ABA)」の合成を促すと考えられるが、そのメカニズムは全く明らかになっていない。本研究では、移動性のペプチドを葉で受容する受容体因子に着目し、水分ストレス応答に重要な根から葉への水分ストレス情報の長距離シグナル伝達機構の全体像、および葉でのペプチドシグナルの受容メカニズムを解明する。

竹澤班 コケ植物を用いたABA、低温および浸透圧応答の
統合的制御に関する基礎研究

  • 研究代表者 竹澤 大輔 埼玉大学大学院理工学研究科・教授
    連携研究者 坂田 洋一 東京農業大学 応用生物科学部・教授
    竹澤 大輔
    竹澤 大輔
    植物の乾燥や高浸透圧、低温などの環境変化への応答過程に、植物ホルモンアブシジン酸(ABA)が関与していることはよく知られている。しかし、異なる環境シグナルの感知の仕組みや、それらシグナルとABAシグナルを統合して制御する仕組みについての理解は進んでいない。本研究では、主にコケ植物を材料として用い、ABAや環境シグナル応答に欠損を持つ変異株の解析や、既知シグナル因子との相互作用解析から、陸上植物におけるストレス情報の統合的制御に関わる因子の同定を目指す。

玉田班 植物の自律分散型記憶を統御するクロマチンステートの解明

  • 研究代表者 玉田 洋介 基礎生物学研究所 生物進化研究部門・助教
    連携研究者 長谷部 光泰 基礎生物学研究所 生物進化研究部門・教授
    玉田 洋介
    玉田 洋介
    細胞記憶の統御に必須の役割を果たしているのがクロマチンステートである。細胞記憶に対するクロマチン修飾の機能は明らかにされつつあるが、クロマチンステートはクロマチン修飾に加えてヒストンバリアントやクロマチン構造によっても構成されており、これらがどのように相互作用しながら植物の自立分散型記憶を統御しているのかについてはほとんどわかっていない。本研究では、主にヒストンバリアントH3.3に着目しつつ、クロマチンステートがどのように細胞記憶を統御しているのかを解明することを目的とする。

千葉班 環境ストレスからのリカバリーと記憶に関わるmRNA分解制御

(2018年8月から)

  • 研究代表者 千葉 由佳子 北海道大学大学院理学研究院・准教授
    千葉 由佳子
    千葉 由佳子
    植物はある一定の環境ストレスに晒されるとそのストレスに耐性を示すようになる。そこには多くのストレス応答性遺伝子の発現誘導が関わっている。しかし、ストレス応答性遺伝子の発現は耐性の獲得とのトレードオフとして、成長の抑制を引き起こすことがある。ゆえに植物にとって好ましい環境条件に戻ったときに、ストレス応答性遺伝子のmRNA量を急激に減少させる必要があり、そこにはmRNA分解の活性化が関わっていると考えられている。しかし、その機能分子は明らかとなっていない。本研究ではmRNA分解の律速段階を担うシロイヌナズナのポリA分解酵素AtCCR4とRNA結合タンパク質であるAPUM5によるストレス応答性遺伝子のmRNA分解制御の分子メカニズムと生理学的意義の解明を目指す。

豊田班 根-地上部間を伝搬する高速カルシウムシグナルの分子基盤

(2018年7月まで)

  • 研究代表者 豊田 正嗣 埼玉大学大学院理工学研究科・准教授
    豊田 正嗣
    豊田 正嗣
    植物は、葉や根を傷つけられた時、傷害を受けた器官のみならず、遠く離れた健康な器官でも抵抗性を上げることができる。このような全身獲得抵抗性反応は古くから知られているが、どのようにして植物は傷つけられたことを感知し、この情報を高速伝搬させ、全身の抵抗性をあげるのかは、明らかになっていない。本研究は、植物全体を高速イメージングできる顕微鏡技術に、グルタミン酸バイオセンサー・イメージングスプリッティング光学系・電気生理学的手法を組み合わせることで、グルタミン酸/イオンチャネル型グルタミン酸受容体/カルシウムシグナルを介した全身獲得抵抗性の分子メカニズムを解き明かす。

野田口班 植物の長距離移行性RNA分子と全身性環境応答に関する研究

  • 研究代表者 野田口 理孝 名古屋大学大学院生命農学研究科・助教
    野田口 理孝
    野田口 理孝
    植物が外界からの個体の発生・成長様式を適応させる手段の一つとして篩管を介した長距離シグナリングが知られる。しかし、篩管を介して長距離輸送されるシグナル様分子は多数同定されるものの、その多くは機能未知であり、中でもRNA分子については理解が進んでこなかった。そこで本研究では、接木実験により環境要因特異的なRNA分子を同定し、個体レベルで輸送動態を検討することで、全身移行性のRNA分子の機能に迫る。

藤井班 アブラナ科の自他花粉識別における生理応答機構の可逆性の解明

  • 研究代表者 藤井 壮太 東京大学 農学生命科学研究科・助教
    連携研究者 土松 隆志 千葉大学大学院理学研究院・准教授
    連携研究者 高山 誠司 東京大学 農学生命科学研究科・教授
    藤井 壮太
    藤井 壮太
    植物の半数以上は自己と非自己の花粉を識別する「自家不和合性」と呼ばれる仕組みを持つ。 この仕組みによって自家受精を避け、他家受精を促進することで集団内の遺伝的多様性が保たれる。 本研究ではアブラナ科植物の自家不和合性システムをモデルに、細胞内での情報統合、すなわちシグナル伝達の維持と減衰が制御される仕組みの解明を目指す。自己花粉と非自己花粉がヘテロに受粉した場合、細胞がその情報をどのように処理するのかを、ライブイメージング技術等を用いて解明する。

松下班 光環境情報に基づくタンパク質細胞内局在パターンの制御と短期記憶

  • 研究代表者 松下 智直 九州大学大学院農学研究院・准教授
    松下 智直
    松下 智直
    植物の主要な光受容体フィトクロムは、PIFと呼ばれる転写因子群を介した転写制御により光シグナルを伝達すると考えられている。 しかしながら我々は最近、フィトクロムが転写制御に加えて、遺伝子発現のその他の過程も制御し、mRNAの量だけではなく質も制御することで、植物の光応答を引き起こすことを発見した。 そこで本研究では、フィトクロムによる新奇遺伝子発現制御の分子機構解明を目的とする。 また、この機構により植物が光環境情報に基づいてタンパク質の細胞内局在パターンを短期記憶する可能性を検証する。

山口班 ヒストン脱メチル化酵素JUMONJIによる高温を記憶する分子基盤の解明

  • 研究代表者 山口 暢俊 奈良先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科・助教
    山口 暢俊
    山口 暢俊
    植物は脳のような情報を集積するシステムを持たないため、環境から得た情報をすぐに感知し、応答することが重要であると予想されてきた。しかし、エピジェネティクスの研究の進展により、遺伝子発現の変化をヒストンの修飾パターンの違いとして記憶し、長期的な応答を制御可能であることがわかってきた。我々は、ヒストンH3にある27番目のリジンのトリメチル化を除去するはたらきがあるヒストン脱メチル化酵素であるJUMONJIが、高温の経験を記憶するために必要であることを見出した。そこで、植物が高温に対する適応能力を発揮する記憶の分子基盤を明らかにし、“植物の記憶力を向上する” 方法を確立することを目的とする。