微生物学
(Microbiology)
2年 選択必修 後期 2単位 山登一郎
【目標】動物・植物細胞をはじめ,下等真核生物,菌類,原核生物やファージに至るまで微生物学の対象である。
これらは古典的な発酵工学のみでなく,最近の遺伝子工学・細胞工学の材料である。そこで生物工学の基礎とし
て,微生物学的取扱いの基礎とその考え方を習得してもらう。まず微生物学の歴史と各生物の進化・分類学上
の位置づけを示す。次に分子生物学発展において主な材料であった大腸菌(原核生物)と酵母(下等真核生物)
を中心に,分子生物学・生化学的側面(分子レベルの側面)から,細胞の生育の問題,遣伝学の基礎,代謝調
節,各種代謝過程,細胞の構造と機能について講義する。遺伝学については分子遺伝学を聴講されたい。
【参考書】スタニ工他著「微生物学」(培風館),柳田友道著「微生物科学1-5」(学会出版センター),
百瀬春生編 生物工学基礎コース「微生物工学」(丸善)
【履修上の注意】生化学I,分子遺伝学,細胞生物学を同時に履修してほしい。シラバス参照。
【成績評価方法】試験の成績で評価する。
【授業計画】
- イントロダクション(微生物学の歴史)
[微生物学とは,レーウエンフック,パスツール,コッホらによる微生物学の発展の歴史,発酵と滅菌法]
【トピックス:酒の飲み方,AIDS,ゲノム計画】
- 分類と進化I
[分類の手法,二界説と三界説,下等動・植物,原核生物,菌類]
- 分類と進化II
[菌類およぴ核酸生物,古細菌と進化,各生物の分類]
- 培養と細胞の生育
[生育の測定法,生育の各相(対数増殖期など),各種培養法]
-
[外部環境の生育に及ぼす影響]
【トピックス:抗生物質,細菌のアポトーシス?(定常期シグナル),
腸内連鎖球菌の耐塩・耐アルカリ性】
- 遺伝学の基礎I
[大腸菌の遺伝学,遺伝子地図と物理的地図]
- 遺伝学の基礎II
[ラムダファージ,ラムダファージの遺伝子地図,ライフサイクル]
- 代謝調節I
[転写レベルの調節(負と正の調節),翻訳レベルの調節(アンチセンスRNA)]
【トピックス:
トリプトファンリプレッサー,
醤油発酵におけるカタボライトリプレッション】
- 代謝調節II
[酵素レベルの調節(フィードバック阻害や化学修飾による)]
- 代謝(エネルギー代謝)
[発酵と呼吸,各種微生物に特徴的な発酵過程と電子伝達様式(嫌気呼吸など),光合成]
【トピックス:
微小モーターATPase,アクトミオシンATPase】
- 代謝(同化)
[糖新生,CO2固定反応,窒素固定と窒素サイクル,硫黄の同化]
- 代謝(高分子合成)
[DNA/RNA/タンパク質生合成,調節RNA,細胞周期とDNA複製の調節,プラスミドの不和合性]
【トピックス:分裂リング,分泌タンパク質や膜タンパク質の生合成】
- 細砲の構造と機能(細胞の表層構造)
[菌類の表層構造,細菌の表層構造(ペプチドグリカンと外膜,リポポリサッカリド),
グラム陽性・陰性菌]
【トピックス:O157と外膜及び
ポリン,脂質の性質,
各種輸送系】
- 細胞の構造と機能(細胞内器官)
[リボソーム,貯蔵物質,線毛,鞭毛と走性,夾膜,ミトコンドリア]
【トピックス:鞭毛モーター,シャペロン】
- 細胞の構造と機能(細胞内器官)
[ミクロボディ,液胞,ゴルジ,細胞骨格,分泌とソーティング]
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