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研究テーマ (研究内容の経緯と理解:参考資料) Research themes

インタラクトームとは?

 

ゲノムプロジェクトで全配列が読めても、遺伝子の約半数は機能推定不能だった。タンパク質の機能を知るには、そのタンパク質が相互作用する相手を見つけることが重要だ。何故なら、タンパク質が生物学的な機能を発揮する際には必ず他の生体分子と相互作用するからだ。これら生体分子の相互作用の総称をインタラクトームと呼ぶ。機能的解析は、これまでの相互作用のカタログづくりから、メタインタラクトーム解析による時間的、空間的なネットワークの機能的解釈へ進化する必要がある。それぞれの相互作用がいつ、どこで、どのくらい起こるのか?その個性を捉えることに挑戦する!

本研究室では,「がん」、「免疫疾患」、「脳疾患」などの多様性と個性を理解し制御するために、独自に開発したインタラクトーム解析:日の丸印のテクノロジーを利用したパーソナルゲノム時代(個別化医療時代)の「インタラクトーム医科学」による標的タンパク質の同定と、そこからの「アカデミア創薬」を実現することを目標とし、以下の3つのテーマを柱としている:

 
  1. 次世代標的同定「IVVスクエアプロジェクト」:細胞丸ごとインタラクトーム
  2. 次世代標的検証「TUSマウスプロジェクト」:胎生致死マウスを救え!
  3. 次世代標的制御「ケミカルノックダウンプロジェクト」:タンパクノックダウン

1.次世代標的同定「IVVスクエアプロジェクト」:細胞丸ごとインタラクトーム

簡単にコピー出来る遺伝子と異なりタンパク質のコピー(増幅と検出)は困難であるという課題を、ピューロマイシン(図1)を利用して解決し、この技術を、ポストゲノム時代のタンパク質の機能解析(網羅的タンパク質間相互作用解析:インタラクトーム解析)に応用しました。ピューロマイシンはtRNA 3’末端ミミックなので(図1)、リボソームのAサイトに入り、翻訳されたタンパク質のC末端と連結する性質を持ちます。よって、mRNAの3’末端にライゲーションされたピューロマイシンを介して、「遺伝子型(mRNA)」と「表現型(タンパク質)」が連結します(図2)。このタンパク質は自身のmRNAタグを持つため、「逆転写とPCR(RT-PCR)」で配列を増幅することができます。すなわち、タンパク質が遺伝子のように高感度に検出可能となります。この技術(「IVVディスプレイ法」といいます)を用いて、文科省ゲノムネットワークプロジェクトにおいて、ヒト転写因子を中心とした1,000相互作用を越えるデータを産出しました。世界的に有名なBINDなどの公共データベースから公開され、IVVデータは、世界中の人に使われています(「研究経緯と実績」もご覧ください)。

tRNA_and_puromycin IVV_about
図1  tRNA 3'末端とピューロマイシン 図2  mRNA + タンパク質 = IVV

 

IVVディスプレイ法を、がんなどのパーソナル医療(オミクス統合解析)へ応用するため、次世代シーケンサ(NGS)と融合したハイスループットでかつ医療への応用に適した信頼性の高い解析技術(IVV-HiTSeq法:図3)を発表しました。この技術は、これまで解決出来なかったインタラクトーム解析の「偽陽性問題」を、配列の濃縮曲線から偽陽性判定することで、90%の信頼性を達成しました。IVV-HiTSeq法は、タンパク質間相互作用のみならず、代謝物、食品成分、医薬品等などと生体分子の相互作用を解析して、低分子化合物の作用機序の解明や副作用やドラッグリポジショニングに応用可能です。また、次世代IVV法として、がん「パーソナル医療」へ向けたがん細胞の丸ごと解析が可能な技術「IVVスクエア」を生み出すことを目指しています。IVVスクエア技術が完成すれば、パーソナルゲノム研究のみならず、進化分子工学的に、分子間相互作用の起原や進化の研究への新しい挑戦が可能となります。

図3  NGSを活用するIVV-HiTSeq法
http://www.natureasia.com/ja-jp/srep/abstracts/40682

2.次世代標的検証「TUSマウスプロジェクト」:胎生致死マウスを救え!

遺伝子の機能解析は、遺伝子をノックアウトしたノックアウトマウスを作製する方法が一般的で、生命科学や医学の進歩に無くてはならない重要な技術となっています。IVV法のインタラクトームデータから得られた疾患の標的タンパク質についても、このような機能解析技術を利用した検証実験が必要となります。遺伝子操作によるノックアウトマウスは、胎生致死の問題や動的解析が自由に出来ない等の問題があります。胎生致死の問題は、データが得られないだけでなく、マウスの犠牲が伴います。また、機能解析において、遺伝子の転写を制御して、発現量を1/0(100%か0%)に制御することが出来ますが、その中間的な制御(25%や75%など)はまだまだ困難です。それらの問題を解決するために、転写レベルのmRNA量の制御ではなく、翻訳後、直接的にタンパク質量の制御が可能な動的解析モデルマウスとして、「TUSマウス」の研究開発を進めています(図4)。

図4  動的機能解析可能なTUSマウス

3.次世代標的制御「ケミカルノックダウンプロジェクト」:タンパクノックダウン

機能解析ツールは、DNAレベルで操作する遺伝子ノックアウトマウス、RNAレベルで操作するRNAi(RNA干渉)による遺伝子ノックダウンが研究されて来ています。セントラルドグマから考えられる次の機能解析技術は、タンパク質レベルで操作する機能解析ツールとして、タンパク質のノックダウン技術が期待されます(図5)。我々は、インタラクトーム解析を基にして、相互作用する化合物によるタンパク質の分解(ノックダウン)を研究しています。化合物によるノックダウン「ケミカルノックダウン」は、遺伝子操作が全くいらない機能解析技術であり、実現すれば、化合物を添加するだけで、細胞のリアルタイムな動的観察や動的機能解析の有用なツールとなります。また、実験動物では、遺伝子改変の必要がないため、実験に使用するマウスの数を大幅に削減することが可能となります。将来的には、疾患の標的タンパク質を同定(診断)し、その標的を分解する新しい薬(治療)を提供することを目指しています。

図5  セントラルドグマとタンパク質レベルの機能解析

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研究経緯と実績About Our Research

★ 日の丸印のピューロマイシンテクノロジの誕生

1995年頃、試験管のなかで機能を持った物質を進化させる実験として、RNAに機能を持たせる研究がいくつか発表された。次は、試験管内でタンパク質を進化させたい!そう考えて、我々は、試験管内でタンパク質の進化を研究するためのツールとして、ピューロマイシンを利用したin vitro virus (IVV) 法(図1A)を世界に先駆けて日本発の日の丸印の技術として独自に開発した。IVV法を開発していて偶然発見したピューロマイシンの新たな特性(低濃度で全長タンパク質と連結)を利用して、C末端ラベル化法(図1B)も同時に開発した。二つのツールを総称して「ピューロマイシンテクノロジ」と名付けた。

図1

A. 無細胞翻訳系のリボゾーム上で合成された表現型であるタンパク質とその遺伝子型であるmRNAがピューロマイシンを介して共有結合した対応付け分子をin vitro virus (IVV)と名付けた。

B. ピューロマイシンの濃度を低くすることにより、無細胞翻訳系のリボゾーム上で合成された全長タンパク質のC末端にピューロマイシン誘導体(蛍光色素付加化合物など)が結合できる特性を発見した。これを利用した技術がC末端ラベル化法である。 

★ ポストゲノム時代の機能解析:世界初の領域情報レベルの相互作用解析

2000年、日の丸印のピューロマイシンテクノロジの研究がよちよち歩きを始めた頃( E. Miyamoto-Sato et al., NAR, 2000)、ライフサイエンスが大きな転換期を迎えていた。その年の6月、国際ヒトゲノム・プロジェクトを率いたトップサイエンティストであるCollinsが、全ゲノムの90%を解読したとして、ホワイトハウスでドラフトを公式に発表したのである。全ゲノム配列を手中にした科学者達は皆、あらゆる可能性に満ちたDNAの文字列に魅了され、そこに書かれている宝の山(生命の謎)を読み解こうと勢い立った。世界中がこの発表に衝撃を受け、ポストゲノム時代が始まった。日本でも、文部科学省などにより、いくつものゲノム関連プロジェクトが推進された。

そこで我々は、ピューロマイシンテクノロジを、このポストゲノム時代の解析ツールとして、タンパク質の機能解析に応用することを試みた。ゲノム時代の膨大なデータを扱う研究は、解析ツールの開発のみならず、情報処理的な解析アプローチが必要となり、横串型の領域融合研究に発展した。IT企業との産学連携の共同研究を通して、ピューロマイシンテクノロジをタンパク質相互作用解析(PPI)に応用し、ハイスループット化した(E. Miyamoto-Sato et al., Genome Res., 2005)。

PPI解析ツールとしてよく知られている方法は、酵母ツーハイブリッド法(Y2H)とタグ精製法であるTAP (Tandem Affinity Purification)-MS (質量分析)法である。しかしながら、これらの方法では、生きた細胞を使用するために、毒性やライブラリーサイズの制限などの問題があった。我々の方法は、これらの欠点を克服する手法である。

文科省ゲノムネットワークプロジェクトでは、IVV法の自動化ロボットによる大規模解析システムで、世界初の領域情報レベルのヒト転写因子の相互作用解析に成功(参照:日経バイオテクの記事)し、論文を発表し、データを国立遺伝学研究所(リンク)から公開した(E. Miyamoto-Sato et al., PLoS One, 2010)(図2)。これらの成果が評価され、研究室PI(宮本悦子)は、2010年6月,第3回資生堂女性研究者サイエンスグラント賞を受賞し、研究室メンバーが、2010年7月、理研七夕フェローに選ばれた。

図2 IVV法によるヒト転写因子の相互作用領域(IR)ネットワーク解析

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東京理科大学生命医科学研究所 分子生物学研究部門 宮本研究室

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