日本はインターネット鎖国になりはしないか?

(Copyrights reserved by Ichiro YAMATO. ここの意見は山登個人のものです。)

インターネットを始めた頃(5年前)の状況

1992-3 年 BitNet を使って、DNA塩基配列のホモロジー検索などを、 NIHなどのデータベースにアクセスしたりメールを送ったりして行っていました。 (帝京大学医学部物理学教室の笠原先生に教わりました。)BitNet が不便なので その後、1993 年 1 月に(1992 年に野田地区学内基幹LANが敷設されていた) 学科内にイーサネットをひきました。 そのお陰で、大変便利に研究ができるようになりました。その当時は大変迅速にデータの やりとりができていたように思います。その成果が 腸内連鎖球菌 Na+- ATPase遺伝子群の塩基配列・アミノ酸配列とその性質についての 1994 年のJ. Biol. Chem. の論文です。もちろん便利ですから、ネットワークをひい ていない学科内の研究室からもたびたび当研究室のパソコンを利用しにいらっしゃっていました。 また、1995 年には釜沢君が研究室の ホームページ開き、当時アメリカはじめ 世界のホームページを眺めたように思います。その時、初めてで感激しながら眺めたためか、 アメリカの大学などのホームページも印象的でそれ程遅いなどとは気にならなかったのです。

インターネットの現在の状況

いま 1997 年、研究のためのデータベース 検索雑誌のホームページを みるだけでも、アメリカはまだしも、例えばオーストラリアやシンガポールといった 近くの国でも大変遅いと感じてしまいます。例えば、samba にセキュリテイホールがあると の注意を頂き、そのパッチを当てた改訂版を ftp://samba.anu.edu.au/pub/samba/ からダウンロードしようとしました。約1メガバイトのファイルの転送に10月3日に2時間 近くかかり、一度は途中でとぎれて失敗したりして、単なる version up に1日懸かって しまいました。こんなことでは研究などできません。データベース検索においても似たような 状況になっています。

理科大の野田地区はまず神楽坂地区に繋がり、そこからJOINという本学が運用して いる学術系のインターネットサービスプロバイダに接続し、そこからさらに日本の大学関係 の参加している学術情報ネットワークSINETにつながります。海外へは、SINETから アメリカ東海岸のMAE−EASTというネットワークアクセスポイントに接続しています。 また、商用系のインターネットサービスプロバイダにもNSPIXP2という相互接続点を 経由して繋がっています。もちろん野田地区と神楽坂地区の通信もボトルネックになっている かもしれませんが、日本の中の慶応や東北大学などは十分速く繋がりますので、それ程通信の ネックにはなっていないと思います。しかし、海外(アメリカはまだまし)に繋げようとする と、途端に遅くなってしまいます。多分日本と海外との間の通信がボトルネックになっている と思われます。特に通信の増加が激しい最近はそれが大問題になっているのではないでしょう か。(よく知りませんが、海外へはすべてSINETからMAE−EASTに繋がり、その後 アメリカから各国に繋がっていくのでしょうか?だとすると、アメリカ以外との通信が遅いのは アメリカとそれらの国との回線が遅いということになります。日本とそれらの国との直接の 回線が遅いということではないのでしょうか?)

日本のインターネットインフラについての心配事

電子商取引や電子マネーなどインターネットでできる各種サービスが新聞によく取り上げ られています。でも、それがなかなか一般家庭にまでは普及していません。企業にしても それをあまり利用していないと思います。多分それは原理的にはできるとして設備を整えたと しても、実際はほとんど用をなさない程度の速度であるからではないでしょうか。日本国内 なら何とか役に立つ程度でしょうが、逆に国内なら他の手段でも十分間に合います。このイン ターネットのメリットは遠距離、特に外国の場合です。でも、外国との通信は少し複雑なことに なるとほとんど用をなさないのではないでしょうか。遅すぎて使いものになりません。研究ですら、 今や遅すぎて大変支障を来しています。このような状況は企業にとって大変な損失だと思います。 諸外国の企業に比べ、日本の企業は大きなハンデを背負っていることになります。ですから、多分 資本のある各種の大企業や、またはこれからは儲かるはずであると考えられる分野ですから、 多くのベンチャー企業がネットワークのインフラについても参入し、競争したいと思って いるのではないかと推測しています。こんなに必要になっていて、且つ企業に取ってみれば 大きな損失を来す原因になっているのですから、いろんな企業がネットワークのハード の整備に乗り出さないはずはないと思います。各国との接続も、商業ベースでどんどんでき るのではないでしょうか。(情報関係の学者でもないので、間違っていたらお教え下さい。) それなのに、なぜNTTだけなのでしょう。経済学者でないので、詳しいことは判りませんが、 やはりここにも、NTT独占のための通信分野での規制 が(電話は各種民間が参入して安くなりましたが)強く残っているのではないでしょうか。原理的 には、インターネットはどこにも中心のない蜘蛛の巣状のネットワークなのですから、各部分を 細かく私企業が分担してでも作ることができると思います。それを日本では、NTTだけが作って いるようであり、非能率高価格になってしまうのも頷けます。このような状況は早くやめ、インフラ も自由競争のもとに整備するべきだと思います。(だって必要性がどんどん増していて、絶対儲かる のですから、やらない手はないと思うのですが)。

とにかく、郵政省が考えてくれて、NTTがうまく作ってくれるから民衆は 安心していられる、といった意識から早く自立して、役人に任せたら金も 時間もかかり、おまけにろくなものを作らないと悟って、自分たちで責任をとる 覚悟をつけるべきだと憂えています。(10月9日、郵政三事業の民営化中止が新聞 に載りました。郵貯に代表されるような不公平な規制のために、銀行や生・損保などが日本版 ビッグバンに追い立てられて自由競争のもとに活力を取り戻そうとしている活動や、財投が らみで、本腰をいれなければ日本が危ないところまで来ている日本政府の財政再建の活動が また足かせをはめられました。どうして政治家が官僚を押し切って、規制緩和できないので しょう。国債というハイチャク、戦後国営としてある程度役割を果たしたが今やお荷物でしか ない郵政・林野庁などやそれと同類のJR・JT・NTTなどの存続というハイチャクによって、 日本の次代はまた重荷を預けられたことになりませんか?と思っていましたが、 10月12日のテレビ朝日「サンデープロジェクト」での小泉厚生大臣はよかったですね。 「橋本総理を説得する。」の一点張りで、具体的にどうするか、田原総一朗氏の質問には答えて いませんでしたが、少なくともその見通しは道理に適っていたし、心意気も頼もしいものでした。 応援します。行革構想が実現するよう努力をお願い致します。)

 

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