Neutron Scattering for Material Science


学生物理学実験で関わった実験題目

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30年以上にわたり在職していると、物理学科の実験系教員として左記の物理学実験群において、題目を引き継ぎ
テキストを改編したり、新しい題目を導入したり、またそれらを葬ってきたので、その記録をここに残しておくことにします。 2023前期



chapter-0
⓪力学振動子の共鳴実験(現役)
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20年以上前に「学生物理実験におけるコンピュータ支援」という文脈で色々な実験課題を作った時期がありますが、この「力学振動子の共鳴実験」はお気に入りのひとつでした。ただ、非線形振動も取り込んではありましたが、内容からすると物理学実験3ではなく物理学実験2がより適切だったのですが、満田が長らく物理学実験3の担当者であったため手放さずに保持し続けてしまいました(反省)。休眠していたコロナ禍の間に測定系の老朽化が顕著になりオシロスコープ・iMacなどがほぼ機能しない状態になっていたこと、および2023年度から満田が物理学実験2を担当することもあり、測定系ならびに実験テキストを全面的に改修し物理学科2年生のカリキュラムに最適化して引っ越すことになりました。左記のWebの「開発のあゆみ」を是非、見てください。



chapter-1
①マイクロ波実験(現役)
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10GHzのXバンドのマイクロ波を楽しめる実験として前任者から引き継いだものですが、MoodleベースのLMS(本学ではLETUS(レタス)と呼ばれています)が2011年度から導入された際に、今ではあたりまえの動画による説明ビデオクリップなどを用いたメディアリッチな電子テキストを導入したものです。左記のWebの「開発のあゆみ」を眺めると懐かしいですね。
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chapter-2
②音のフーリエ解析(引退)
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概要に「(普段耳にする音(声/携帯電話着信音/モノコード)や(ソフト的に)発生させた様々な波形(SIN波、三角波、短形波、etc)を耳で聞き、その波形を(ソフト)オシロスコープで目で見ながら、波形解析汎用ソフトを用いてフーリエ分解し、それをまたフーリエ再合成する実験であり、言わば『フーリエ解析』(数学)の内容を音を用いて体感する実験として導入されました。 左記のWebの「開発のあゆみ」を眺めると懐かしいですね。2003年度の準備期間を経て、音の分析(2004年度〜2008年度)・音のフーリエ解析(2009年度〜)と開発を重ねてきましたが、用いていた波形解析汎用ソフト「SignalScope Pro2」(Faber Acoustical, LLC)のライセンスにもとづくActivationができなくなったため、大変残念ですが2022年で廃題目とすることになりました。この題目はそれなりに人気もあり長らく使われてきたので残念ですが、次世代の学科メンバーにより、より相応しい題目として復活されることを願っています。 2023-3月



chapter-3
③VSM磁化測定(引退)
VSM(Vibrating - Sample Magnetometer)磁化測定装置は学生実験には少々高級ですが、1999年度の卒業研究生2人に、研究室にあったものを7F学生実験室に移設し、稀土類金属 Dy と高温超伝導体(YBa2Cu3O7)を試料とした実験課題を作成して頂きました。「開発のあゆみ」を眺めると懐かしいですね。当時は紙ベースでないWebベースの実験テキストはあまりウケが良くなかったですが、その後Wikiを用いたWebが整備され、コロナ期で休眠するまで20年に渡り実験3の課題として活躍してくれました。しかしながら,用いている電磁石が高価なため(これは大学院生時代の恩師から頂いたものです)2台の実験装置を準備することができず「⑦強磁性体の磁化測定」と襷掛けの運用で賄ってきたこと、LabViewを仕込んだ測定系も老朽化していたこともあり、思い切って廃棄することにしました。電磁石はあらためて購入すると高価であり残しておくという話もありますが、十分なスペースがあるわけではない7F学生実験室に残す合理性がないので、左の写真のように2023年3月にはすべて廃棄しました。2023-3月



chapter-4
④磁性体のモンテカルロシミュレーション(引退)



chapter-5
⑤マイクロ波散乱実験(引退)
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「マイクロ波散乱実験」は、x線回折実験における「逆空間」や「回折現象」のさらなる理解のため、格子定数、波長の単位をともに数 cm にして、実空間構造と逆格子空間像の対応を目で見て体感できることを意図して導入したものです。原子の代わりとして金属の円柱棒(原子棒と呼ぶ)を用い、(i) 1本の原子棒,(ii) 原子棒が一列に並んだ1次元格子,(iii) 原子棒が直交格子あるいは三角格子をなす2次元格子の散乱体を準備し、波長〜3[cm]のマイクロ波を用いて散乱実験を行うものです。実験者が「自在に逆格子空間をスキャンし実空間構造のフーリエ変換像を散乱強度を測定して得る回折実験」を体感できるように意図しましたが、装置全体が大きく、保守・管理の問題が大きかったために、残念ながら導入してから数年で廃題目にしてしまいました。内容自身は気に入っており、「実験室にもっとスペースがあれば…」が残念なところです。「開発の歩み」を眺めると懐かしいです。2023-3月



chapter-6
⑥トンネルダイオードを用いた非線形発振回路(引退)



chapter-7
⑦強磁性体の磁化測定(現役)
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「強磁性体の磁化測定」は物理学科3年次の実験題目として長年にわたり用いられて来たものでしたが、この装置の心臓部であるピックアップコイルに発生した誘導電流を(力学的に)積分する「弾道検流計」が老朽化しメンテナンスが困難になってきたこと、さらには、(結果としては実現しなかった)2007年度の本学の神楽坂地区における校舎の大規模な立て替え工事に伴う振動により「弾道検流計」が事実上機能しないことが予想されていたという事情により、「弾道検流計」による力学的積分を、電子回路により積分する「Qメーター」に置き換え、テキストを更新しWeb化することを、2006年度の卒業研究生に担当して頂きました。その「開発のあゆみ」を眺めると懐かしいですね。それでも段々と装置の老朽化が進み、これに変わる(③VSM磁化測定とは異なる)2台作れて長持ちする現代的な磁化測定の新課題を、最後のご奉公として作ろうと考えていましたが、コロナ期に入りそのままになってしまい、残念です。長年にわたり稼働してきた実験課題ですが、近い将来に世代交代することを期待します。2023-3月



chapter-8
⑧シン音のフーリエ解析(新規導入)
②音のフーリエ解析(引退)はこれで終わりと思っていましたが、2023年度の教育DXでMacBookAir15inchiを用いた類似の課題を立ち上げる機会を得て、2024年度から「⑧シン音のフーリエ解析」として導入できるように2023年度後期に取り組むことにしました。左のlightBoxにそのイメージがあります。 2023-10月