経皮エネルギー伝送システム(Transcutaneous Energy Transmission System, TETS)とは、埋込型人工心臓などに対し、電磁誘導の原理を利用して、 体外から体内へ皮膚を貫通せずエネルギーを供給するシステムのことを言います。これは低侵襲の観点から、駆動用エネルギーの供給方法として最も有力な方法とされていますが、 体内外に設置される送受電用コイルの位置ずれにより効率が低下する問題を抱えています。 そこで、位置ずれによる影響を受けにくいベルト形状の体外コイルを提案し、実用化を目指した研究を行っています。
不整脈を治療するために体内に植込む医療機器としてICD(植込み型除細動器)がある。体内のICDを動かすために電池が使われているが、 電池の寿命が尽きるたびに電池交換のための手術が必要であり、患者にとって大きな負担となっている。その解決策として経皮電力伝送が挙げられるわけだが、 一般的によく用いられている電磁誘導方式では、体内と体外のコイルが少しズレただけで効率が大幅に減少してしまう。 そこで、電界結合を用いることで位置ずれによる効率低下を抑えられないかと考え、電界結合方式を用いてICDに電力伝送を行うための条件や、従来方式との比較検討を行った。