近年の高度な医療機器は学際的協力関係のもと実現することがほとんどです。例えば,体内埋込型人工心臓は 末期的不可逆性心疾患患者の治療手段として期待されており,患者のニーズに合わせた移植時期の決定が容易です。 少子高齢化に伴う,今後の労働者の医療費負担増加や家族の介護負担の増加を考慮するとると,普及が急務と言えます。 当研究室では,電気工学的立場からドライブライン感染のリスクを根本的に低減し,患者のQOL(Quality of Life)を向上させる, 小型・高出力な経皮エネルギー伝送システムや情報伝送システム,およびこれらを一体化した装置の研究開発を行っており, 人工心臓システムに限らず,他のデバイスにも適用可能な汎用性の高いものといえます。
薬事法の改正によりすべての医用電子機器は電磁両立性(Electromagnetic Compatibility : EMC)の満足が義務づけられています。
EMCとは当該機器の性能を低下させることなく機器の周辺電磁環境との調和することを言います。不要電磁波の発生抑制や,
妨害電磁波に対する免疫性の高い回路・電子機器設計法の研究は人が安心して使える医療機器の実現に必要不可欠です。
当研究室では,医療機器に限らず電波システム機器等のEMCについても、IECなどの規格に準拠した試験を手がけています。
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EMI:CISPR,IEC規格に準拠した放射性妨害波,伝導性妨害波,高調波電流,電圧変動・フリッカ
EMS:IEC規格に準拠した静電気イミュニティ,放射電磁界イミュニティ,電気的ファストトランジェント・バーストイミュニティ,雷サージ,伝導性イミュニティ,電源周波数磁界イミュニティ,電圧瞬断・停電・電圧変動 など
電磁波は一見馴染みの無いように感じられるかもしれませんが身近な場所に多く存在し世の中で広く活用されています。 基幹となる学問体系はMaxwell方程式と呼ばれるわずか4つのシンプルな偏微分方程式によって完結するものの,その応用は無数と言えます。 当研究室では,UWB(Ultra Wide Band)など通信を目的としたアンテナ,ワイヤレスエネルギー伝送やマイクロ波加熱など大電力を放射するためのアンテナ, マイクロ波・ミリ波を用いた遺失物,埋設物探査レーダ,自然界には存在しない電気的・磁気的性質をもつ人工媒質を実現するためのメタマテリアル, 電磁環境を考慮した電子機器設計などについて研究テーマとしています。