満田
さんからのコメント
(
Date: 2005年
04月
12日
火曜日
15:15:43)
4月12日(第一回目)の講義では
掲示板/教科書購入/Assignment/授業(講義)LOGについて事務的な話をし、クーロンの法則から始めました。
すでにわかりきっていて退屈だったかもしれませんが、離散的な点電荷が作る電場は、『重ね合わせの原理』により、個々の点電荷の寄与のベクトル的足し合わせで表現できること、『重ね合わせの原理』は自明ではなく実験事実であること(p58
footNote1を参照)を強調しました。『重ね合わせの原理』の理解のcheckとして、問題2.1の(a)&(b)を黒板で解説し残りの(c)&(d)をAssignmentとして課しました。
連続的な電荷分布の場合は(式2.8)の様に拡張できるが、差分単位位置ベクトル(筆記体アールーハット?)は積分中に向きが動くこと(p62
footNote2を参照)を注意し、具体例として問題2.6を解説しました。ベクトル的足し合わせの結果、被積分関数にCos(θ)をかける必要があること(θはz軸と筆記体アールーハット?の成す角度)を説明しました。
出てきた表式を(Z
>> R)で漸近評価し、有限の大きさを持つ電荷分布は十分離れれば点電荷として振る舞うことを強調しました。
同時にz=0の電場の大きさはσ/2ε0なのか-σ/2ε0なのか考えてみるように言いました(Assignmentではありませんが、次週までに考えてみてください)。
連続的な電荷分布の作る電場の計算(微小電荷要素のつくる電場のベクトル的足し合わせによる)の同様な例として、問題2.7&問題2.8をAssignmentに指定しました。
問題2.7の答えは1年生の物理学でガウスの法則を用いて計算したことがあると思いますが、
球殻の内側では電場はどこでもゼロになり、球殻の外側ではあたかも原点に全電荷が集中しているがごとく見なせる電場が作られ、問題2.6の円盤のように電荷分布から十分はなれなくても球殻の外側であればどこでも、その点電荷的電場ができている点はきわめて特殊な状況であることを指摘しました。また、この問題2.7で求めた球殻電荷分布の作る電場の性質を利用すれば、極座標であらためて3重積分を計算しなくても、(よく知った)結果が出せることをコメントしました。
クーロンの法則+『重ね合わせの原理』から導出した連続的な電荷分布の電場の表式(式2.8)は、電荷分布が動かないことが前提になっていて、動く場合には正しくないことを講義中に言及しましたが、次回は、時間変動する電荷分布の作る場(電場と磁場)について触れこれを表すJefimenko方程式が電磁気学の目標の一つであることを述べ、p65以降の話をします。
満田
さんからのコメント
(
Date: 2005年
04月
19日
火曜日
15:53:00)
4月19日(第2回目)の講義では
(1)
クーロンの法則+『重ね合わせの原理』から導出した連続的な電荷分布の電場の表式(式2.8)(これも(広義)のクーロンの法則と呼びました)は、電荷分布が動かない場合には正しいが、動く場合にはその表式はJefimenko方程式(式10.29:拡張されたクーロンの法則&10.31拡張されたビオザバールの法則)で表され、電磁気学の目標の一つであることを述べました。(電荷分布の時間変動が有限の速度(光の速度)で近傍の場を変化させながら伝わる「近接作用」であること、場は作用する力を表すための実体のないものではなく、運動量、エネルギーを持つ物理的実体であることを、放射光Sping8の話を交え強調しました)。
(2)Assignment#1の問題2.7で積分を実行し得られる『球殻内ではどこでも電場がゼロである』という結果をより定性的に理解できる『立体角(Solid
Angle)を用いた議論』により説明しました。
(3)『立体角(Solid
Angle)を用いた議論』で強調される『逆2乗則の持つ特殊性』ゆえ電場計算でパワフルなガウスの法則について、「ガウスの法則」=ガウスの発散定理(数学定理)+クーロンの法則(物理法則)に沿って説明しました。同様に、「ガウスの法則」を『立体角(Solid
Angle)を用いた議論』で説明することもできます。(これは時間がないので触れませんでしたが、考えてみてください)
(4)「ガウスの法則」を用いて、問題2.12(p75)を解き、Assignment#1の問題2.7+2.8の積分にくらべエレガントに求められたこと、それが対称性に起因していることを強調しました。
(5)同様に、「ガウスの法則」を用いて、EXample2.4(p73)を解き、問題2.6の結果で(z=fixed
R-> ∞)として求めた無限平面電荷分布の作る電場を、より簡単に求めました。結果は平面に垂直方向を向いた距離によらない電場が求まりますが、「どうして距離に依存しないか?」を『立体角(Solid
Angle)を用いた議論』で説明できないか?をassignmentではありませんがふってみました。次週までに考えてみてください。
次回は、「ガウスの法則」の補足をし、p77以降のPotentialに進みます。ベクトル解析の怪しい人は、p53の1.6.2のPotentialsを読んでおいてください。(irrotational
fieldの持つ性質について)
満田
さんからのコメント
(
Date: 2005年
04月
26日
火曜日
16:03:24)
4月26日(第3回目)の講義では
(1)無限平面電荷分布の作る電場を『立体角(Solid
Angle)を用いた議論』で説明しましたが、「どうして距離に依存しないか?」についての定性的な理解は進んだでしょうか?
(2)問題2.13の線電荷分布の作る電場を「ガウスの法則」で求めました。電荷分布の持つ空間対称性から電場の満たすべき空間対称性を如何に引き出すか?自明のことと思わず、納得できるまでよく考えてください。
(3)「ガウスの法則」は常に正しいが、usefullなのは電荷分布の持つ高い空間対称性に起因する電場の呈する空間対称性があるときだけで、Spherical/Cylndrical/Plane
Symmetry に限られることを話しました。example2.5(p74)のように全体ではそれらの対称性を持たないが、対称性を有するObjectに分解できる場合は分解したObjectについて「ガウスの法則」を適用し、重ね合わせの原理を用いればよい話をし、その良い例題として、問題2.18をassignment#2(その1)として出しました。
(4)静電場Eを記述するためには、そのDivergenceとRotationを知る必要がありますが(ヘルムホルツの定理(p555))、その意味で、(広義)のクーロンの法則(式2.8)の表式に対して、DivergenceとRotationを直接計算しました。Divergenceについては逆二乗則の持つ特異性(原点ではデルタ関数型の特異性があるがそれ以外はすべてゼロ)がキーポイントになり、Div(E)=ρ/ε0なる場の方程式が得られました。Rotationについては動径方向を向くベクトル場のためすべてゼロになり、Rot(E)=0なる場の方程式が得られました。ただし、Divergenceで見られた原点での特異性がないことを、問題1.60(b)の数学定理を用いて確かめておきました。
(5)potential関数を2.29式で導入し、
●電場が『Derivable
from a potential』であること、
●名前がpotentialエネルギーと紛らわしいこと、
●電場ベクトルの3成分はRot(E)=0で表される強い関連があり独立でないゆえ、1成分のベクトル和でないスカラー和で表現され、Advantageがあること
●Rot(E)=0は『irrotational
field(渦なし場)』であり、その結果『Conservative
Field(保存場)』であること。
●電場に抗して単位正電荷を運ぶ仕事が経路によらないことを利用し、電場がガウスの法則等で求まっているときは式2.21によりpotentialを求めることができること(ただし、無限遠方でpotential=0という通常の基準点の選択は、無限長線電荷分布や無限平面電荷分布には当てはまらないことを述べ、どうすればよいか、assignmentではありませんがふってみました。次回までに考えてみてください。)
を説明しました。式2.21と2.29式を具体的に用いる練習として、問題2.21と問題2.28をassignment#2(その2)として出しました。
来週はお休みで、次回の第4回目では
p87の2.3.5からはじめて静電場エネルギーまで話す予定です。
満田
さんからのコメント
(
Date: 2005年
05月
02日
月曜日
15:14:22)
明日5/3は休日のため休講です。
次回の第4回目は5/10 になります。
満田
さんからのコメント
(
Date: 2005年
05月
09日
月曜日
23:13:20)
LOG#3に書いた
『(ただし、無限遠方でpotential=0という通常の基準点の選択は、無限長線電荷分布や無限平面電荷分布には当てはまらないことを述べ、どうすればよいか、assignmentではありませんがふってみました。次回までに考えてみてください。)』ですが、講義時間には時間の都合で言及できないかもしれませんので、「電磁気学マテリアル集」のChapter2(2
Electrostatics )の「・面電荷分布」と「・線電荷分布」を見ておいてください。
→
・面電荷分布
満田
さんからのコメント
(
Date: 2005年
05月
09日
月曜日
23:14:05)
「・線電荷分布」
→
・線電荷分布
満田
さんからのコメント
(
Date: 2005年
05月
10日
火曜日
00:13:42)
明日(今日?)の授業で使う2.4.2「The
energy of a point charge distribution」のコンテンツ(QuickTime
Movie)を作ってみました。順次クリックしていくとページが進みます。
KeyNoteというMac版のプレゼンソフトから吐き出したQuickTime
Movieなので結構重たく、ブロードバンドの環境からアクセスしてください
→
2.4.2「The
energy of a point charge
distribution」のコンテンツ
満田
さんからのコメント
(
Date: 2005年
05月
10日
火曜日
16:30:23)
5月10日(第4回目)の講義では
(1)p87 Fig2.35にある電荷分布vs電場vsPotentialの関係を、これまで学習した事項の整理として、説明しました。『Potential ->
電荷分布
』に出てくるPotentialというスカラー場が満たす場の方程式であるPoisson's
Eq /Laplace's Eq については、物理数学2で学習する偏微分方程式における境界値問題として、後期にChapter3で詳しく話すことを予告しました。
(2)Comment#1として、問題2.25(a)(p86)の解説をして、電場を求めたい点におけるPotentialの値だけでは電場を『Derivable
from a potential』できず、点のまわりのPotentialの情報が必要であることを強調しました。
(3)Comment#2として、問題2.34にあらわれる2重球殻の電荷分布をガウスの法則で求める際に、ガウス面を2重球殻の間に球状に取った際に、どうして外側球殻の作る電場を考えなくて良いか?もちろんガウスの法則はQ-enclosedだけ考えれば良いと言ってはいますが、なぜか?をわかりやすく説明できますか?という設問をし、『立体角(Solid
Angle)を用いた議論』を出して、説明しました。これは、「ガウスの法則」を『立体角(Solid
Angle)を用いた議論』で説明することと同じ話ですので、補足として各自で咀嚼してください。
(4)
既に表面電荷分布を持つ具体例(問題2.6/問題2.7)で電場の計算をしましたが、その際に表面電荷分布の詳細によらず、σ/ε0の電場の飛びがあることに気がついていたと思いますが、その一般論をテキスト(p88〜90)に従い、表面電荷密度分布がある場合は、電場のNormal
成分はσ/ε0の飛びがある一方Tangential成分は連続であることを説明しました。
(5)点電荷分布に蓄えられるエネルギーについて、「The
energy of a point charge distribution」のコンテンツ(QuickTime
Movie)を用いて説明しました。webでアクセスできますので、各自で復習してください。
(6)点電荷分布に蓄えられるエネルギーの表式から連続分布に蓄えられるエネルギーの表式を和を積分に置き換えることにより導入しました。連続電荷分布内の点におけるPotentialの計算で1/[(rーr’)=0]の発散がでないか?という疑問が生じませんか?と設問し(すでに問題2.21では一様球状電荷分布について電荷分布内部のPotentialを計算していますが実際、発散するといった問題はありませんでした)、なぜ、発散するといった問題 がないのかを説明しました。連続電荷分布では微小体積要素を無限小にするとその体積要素の持つ電荷も無限小になりますが、点電荷ではデルタ関数型の電荷分布のため、微小体積要素を点電荷のまわりにいくら小さく取っても、その微小体積要素は有限の電荷Qを持ちます。この点が連続分布と離散的な点電荷分布の本質的な違いであることを強調しました。
(7)連続電荷分布によるエネルギーの表式(2.43式)を電場によるエネルギーの表式(2.45式)に書き換える話をテキスト(p93〜94)に従い説明しました。積分領域が前者は電荷分布存在領域であり、後者は全空間であることに注意してください。assignmentではありませんが出来れば、(2.43式)と(2.45式)の等価性についてExample2.8(p94)に目を通し、問題2.32(a)&(b)について自身で体感してください。
次回の第5回目では、問題2.32(a)&(b)についてふれ、2.4.4 Comments
on Electric energyからはじめて2.5 Conductorに進みます。
満田
さんからのコメント
(
Date: 2005年
05月
17日
火曜日
15:34:48)
5月17日(第5回目)の講義では
(1)p95 2.4.4 Comments
on Electric energyに沿って解説しました。
点電荷分布に対するエネルギーの表式は点電荷(分布)を作るために必要な点電荷の(発散している)自己エネルギーを除いた表式になっていることを、2個の点電荷からなる系のエネルギーを「電場によるエネルギーの表式(2.45式)」を用いて計算し、No
supersosition を強調して説明しました。
その理解のcheckとして問題2.34をassignment#3(その1)として出しました。解答では、半径aおよびbの球殻が持つ自己エネルギーは?、Cross-Termは?、No
supersositionは?に注意して単なる計算に留まらないように注意して記述してください。
(2)p96の導体(Conductor)に入り、静電場のもとでは導体が満たすべき著しい性質があること、またそれがどうしてか?について解説しました。これらの性質を前提にすると、導体内に作られたCavityについて特筆すべき性質が現れることを2つの例で話しました。第1番目は、外部電場の電気力線が導体の内部に侵入しないように電荷が表面に誘導され、これらの電気力線を吸収し外部電場からCavity内部が遮蔽される[静電遮蔽]ことです。落雷時に自動車に逃げ込む例がこれにあたります。University
Physics p858にあるFaraday
Cageの写真(ボストン)を見てください。
第2番目は、視点をCavity内部から外部に移し、帯電していない導体内のCavity内部に電荷を設置した場合で、『The
conductor conceals from us all information concerning the
nature of the cavity......』となることを説明しました(example
2.9(p99)を参照し議論を今一度追ってみてください)。
第1番目の例を「Cavity内部は外から守られている」というならば
第2番目の例は逆に「導体内のCavityは外に対して隠される』と言えます。
これらの内容の理解のcheckのため問題2.36をassignment#3(その2)として出しました。ただ、数式を羅列するのではなく、どういった論理展開により結論に至かを言葉を添えて丁寧に解答してください(それを含めて評価します)
次回の第6回目では、2.5.3 Surface
Charge and Force on a Conductorからはじめて時間があれば5章に移ります。
満田
さんからのコメント
(
Date: 2005年
05月
24日
火曜日
16:01:02)
5月24日(第6回目)の講義では
(1)最初にMIT
Open-Course-Wareの
『Electricity
and Magnetism』のストリーミングビデオにある、Van
de Graff 発電機やFaraday
Cageの極めて教育効果の高いデモを見てもらおうとMacを持って行きましたが、ネットワークがないとは残念でした。
(2)2.5.3 Surface
Charge and Force on a Conductorの説明に長々と時間を使いましたが、任意の形状を持つ導体内部の電場をすべてゼロにするように表面電荷分布を決める『計算問題』は非常に複雑ですが、導体は物理法則に従い、あっという間にその『計算問題』を解いている点を強調しました。
(3)導体表面の電荷密度は曲率の大きい(低い)ところで高く(低い)ことを、十分に離れているがワイヤーで同電位に保たれた半径の異なる2個の球状導体の計算例で示しました。
(4)Force
on a ConductorでLocal
Patch以外の部分の作る電場はLocal
PatchのOutside/On/Inside側で不連続性を示さないことを強調しました。Local
Patch自身が作る電場の不連続性のエッセンスは問題2.6の中にあります。説明では解りやすいように球状導体を用いて説明しましたが、問題2.7(Assignment)でTA担当者からコメントのあった球殻上(on
shell)の電場が内側近傍の0と外近傍近傍のσ/ε0の平均値σ/2ε0になっていることについての意味がこれで解ってもられたと思います。
(5)ElectroStatic
Pressureの別の導出を、仮想変位を考えたとき圧力がした仕事は電場の満ちている空間の減少によるElectroStatic
Energyの減少分に等しいという関係から行いました。
(6)問題2.37の解説を金属板の有限の厚みを考えて行いました。問題2.38を演習の時間に解くときも有限の厚みを注意して考えてみてください。
(7)静電容量に進み、例題2.11の前段階としてC11,C12,C21,C22の話をして、来週火曜日締め切り(来週の講義時間が始まるまでに教卓に出す)の宿題を出しました。レポート用紙の枚数は1枚だけです(裏表書いてください)。これはAssignmentではなく講義のレポートです。
(8)来週は5章から始めます。
満田
さんからのコメント
(
Date: 2005年
05月
31日
火曜日
22:03:35)
5月31日(第7回目)の講義では
(1)先週に出した講義レポート
『例題2.11にある導体系(2個の同心球殻)における静電容量係数C11,C12,C21,C22を求めよ』問題について、C12,C22を求めて見ました。Griffithは秀逸なテキストですが静電容量についての記述が薄い気がしましたので補足しておきました。
(2)点電荷間に働くクーロンの法則を「電場の表式」と「その電場のもと電荷が受ける力の表式」に分けたように、電流Loop間に働く力の法則(本来はアンペールの[力]の法則と呼ばれていたが、現代のテキストでは名前なし)を「電流Loopの作る磁場の表式(ビオザバールの法則)」と「その磁場のもともう一方の電流Loopが受ける力の表式」に分けました。このアンペールの[力]の法則は一見、作用反作用の法則を満たしていませんが、問題5.49(p250)にあるように、Loop積分を実行した後は作用反作用の法則を満たしていることを確かめました。良い忘れましたが、ここで求めたF12=-F21が自明に見える表式はNeumann(ノイマン)の公式と呼ばれています。
(3)高等学校で既に結果を知っている直線電流の作る磁場を計算し、2本の平行電流に働く単位長さあたりの力を求め、この力を用いて、電流の1Aを定義する話をしました。SI系ではまず電流がありきで1[A]=1[C/s]で電気量が定義されます。同(異)種電荷間に働く斥(引)力の関係と逆に、同(逆)方向を流れる電流間には引(斥)力が働きますが、これらの違いについて、電気力線/磁力線を描いてみて考えてみるように問題を出しました。(来週にランダムに尋ねます)
(4)Wireを流れる電流の定義=The
current in a wire is the change per unit time passing a
given point に従い電流を担う電荷担体の正負については電流に作用する力では区別できないが、Hall
effect(問題5.39
p 247)では区別が可能という話をしました、具体的に演習時間に問題5.39を解いてみてください。あと導線では電流を担うmobile
negative charge(電子)とStatinary
positive charge(イオン)があり電気的には中性であり、導線を流れる[定常]電流は電場を作らないことを述べておきました。
(5)次回はp221から初めて∇・B、∇×Bを計算します。
満田
さんからのコメント
(
Date: 2005年
06月
07日
火曜日
15:55:43)
6月7日(第8回目)の講義では
(1)定常電流の条件∇・J=0について話し、問題5.6(b)(p214)の例題を示しました。この例について各自で∇・J=0を具体的にcheckしてみてください。また電流の定義がwireを流れる場合からどのように拡張されるか?その際にどのような面で積分するのか?についてsolenoid場∇・J=0であるため is
independent of surface, for any given boundary
line となることを強調しました。電流を数値の上で体感するように、Assignment#4(その1)として問題5.19を出しました。
(2)点電荷の作る電場を重ね合わせて電荷分布の作る電場の表式を得たように、line
currentの作る磁場を重ね合わせて体積電流密度Jを含む磁場の表式(ビオザバールの法則)を書き出しました。定常電流の一部を取り出した部分電流要素については実在する電流としての意味を持ちませんが、その磁場への寄与を見るという点で意味があります。一定速度で動く点電荷については5.40式のような磁場を考えてしまいそうですが、これはもはや定常電流ではなく、定常磁場を表すビオザバールの法則は適用できません。正しい答えは10.68式&10.69式のようになります。(電磁気学の時間には恐らくカバーできないので、3年生で電気力学の講義を聞いてください)。
(3)電流密度Jによる磁場の表式(ビオザバールの法則)について∇・B、∇×Bを計算しました。計算を始める前にB=∇×Aのように、あるベクトル場AのRotationで磁場Bが表現できる形に変形し進める点が、テキストと少し異なります。
技巧的ですが、いくらかの計算のあとに、∇・B=0、∇×B=μ0J を導出しました。
(4)アンペールの法則(微分型)∇×B=μ0Jをストークスの定理を用いてアンペールの法則(積分型)に変え、静電場の問題におけるガウスの
法則と同様に静磁場における有益な法則であることを説明しました。「アンペールの法則」は常に正しいが、usefullなのは電流分布の持つ高い空間対称性に起因する磁場の呈する空間対称性があるときだけであることを強調しました。Example5.7(直線電流)、Example5.8(Current
Sheet)を各自で読んでみてください。
(5)問題5.13(a)を解いたつもりになっていましたが、これは円柱表面を流れるお話でしたので、Assignment#4(その2)として出した問題5.13(b)に加えて問題5.13(a)もAssignment#4に含めます。電流分布の持つ空間対称性から磁場の満たすべき空間対称性を如何に引き出すか?自明のことと思わず、納得できるまでよく考えてください。
その意味で、p227のExample5.9(Solenoid
Coil)に沿って解説を始めたところで時間切れになりました。密接に関連する問題5.44&5.17を演習時間に先行してする場合には、このExample5.9(Solenoid
Coil)を各自読んでみましょう。
(6)来週6/14は創立記念日でお休みですので、次回は6/21です。Example5.9(Solenoid
Coil)から始めて、p234のベクトルポテンシャルの話をして5章を終えます(5.4.3に出てくる多重極展開や磁気双極子の話は、後期に3章で多重極展開や電気双極子の話をする際にまとめて話ます)。その後は、7章の変動する電磁場について進みます。
満田
さんからのコメント
(
Date: 2005年
06月
21日
火曜日
16:13:18)
6月21日(第9回目)の講義では
(1)「静電場の問題におけるガウスの
法則」に対応する「静磁場におけるアンペールの法則(積分型)」の使い方の例として、p227のExample5.9(Solenoid
Coil)を解説をしました。密接に関連する問題5.44&5.17を演習時間に解いてみてください。
(2)p226のExample5.8(無限平面上を一様に表面電流が流れるCurrent
Sheet)に沿って解説をし、任意のCurrent
Sheetがある場合の磁場Bについての境界条件(p241 5.74 式)を解説しました。『電場のNormal
成分はσ/ε0の飛びがある一方Tangential成分は連続である』ことと対照的に『磁場のNormal
成分は連続である一方Tangential成分はμ0Kの飛びがあるることを強調しました。さらにこの境界条件がExample5.9(Solenoid
Coil)について成り立っていることを確かめるcheck(p242問題5.31(a))をしてください。
(3)静電場と静磁場について場の方程式の違いをもとに、定性的にどのような違いがあるかを話しました。第7回目の講義で『同(異)種電荷間に働く斥(引)力の関係と逆に、同(逆)方向を流れる電流間には引(斥)力が働きますが、これらの違いについて、電気力線/磁力線を描いてみて考えてみるように』問題を出しましたが、実際に黒板に描いてもらい、力線の出来方は磁場/電場で大きく異なるが、8章p351 Maxwell
Stress Tensorで後期に解説する力線方向に働く張力と、力線と垂直方向に働く圧力によりこれらを統一的に説明できることを話しました。8章をお楽しみに!
(4)
Vector
Potential A
の話をしました。あるスカラー場λのgradient∇λを加えるゲージ変換を行っても同じ磁場Bを与えるゲージ不変性があるため、種々のゲージの取り方が可能であることを話しました。ヘルムホルツの定理からは場 A を定めるために∇×Aと∇・Aの両方を定める必要がありますが、∇×Aについては文字通り∇×A=Bとして指定されていますが、∇・Aについては何も言っていないため、このような任意性が生じます。考える問題に適したゲージ(ローレンツゲージ、放射ゲージ、etc)を設定することができますが、静磁場では∇・A=0となる『クーロンゲージ』と呼ばれるゲージが適しており、実際、『6月7日(第8回目)の講義
(3)』では電流密度Jによる磁場Bの表式(ビオザバールの法則)をB=∇×Aのように、あるベクトル場AのRotationで磁場Bが表現できる形に変形し進めましたが、まさにこのベクトル場がVector
Potential Aの表式になっており、クーロンゲージを満たしています。
問題5.27(a)&(b)を解いて、Vector
Potential Aの表式(式5.63)がクーロンゲージを満たし、B=∇×Aにより、磁場Bの表式(ビオザバールの法則)を与えることをcheckしてください
<<(これは来週までの宿題としました)>>
(5)
Magnetostatic
scalar potential U(r)の話(5.65式)に少し触れました(興味のある人は問題5.28を解いてみましょう)が、詳しくは、6章の物質中での静磁場に戻ったときに話します。
(6)
Vector
Potentialの実際の計算として、ソレノイド電流のつくるA(r)を例題5.12
に沿い求めました。ソレノイドコイルの外側には物理的実体である磁場がないにも関わらず有限の値を持つVector
Potential A(r)は意味のないものではなく(その昔は電場や磁場の計算に便利な数学的な補助量と思われていた)、電子の波動関数の位相のずれとして影響する物理的実体であることがアハラノフ・ボーム効果(AB効果)として予言され、干渉実験を通して実証されていることを述べました。(後期から始まった量子力学の学習のドライブにしてください)
以下のサイトが参考になると思います。
http://www.englink21.com/i-eng/column/tuika/cmigi05.htm
(7)来週6/28は7章に入り、オームの法則に簡単に触れ、7.1.3Motoinal
emf, 7.2 Electromagnetic inductionに入ります。
→
アハラノフ・ボーム効果(AB効果)
満田
さんからのコメント
(
Date: 2005年
06月
21日
火曜日
16:43:43)
来週6/28は7章に入り、オームの法則に簡単に触れますが、関連する事項として
下記、『電磁気学webコンテンツ集』の中の
「2
Electrostatics (静電気学)」の
「静電場の性質《01年度卒研生三島
央さん作成》」
を見ておいてください。1年の物理学実験で実際に行った実験ですが、webマテリアルにある文言をペーストしておくと、
『この実験の狙いは静電場の性質を確かめることです。しかし、実際に点電荷なるものを持ってきて、そこから作られる静電場を直接測定することは容易なことではありません。
そこでこの実験では、静電場と同じ電位分布をとることが知られている「定常電流が作る場」を確かめることで静電場の様子を探ることを試みます。』
満田
さんからのコメント
(
Date: 2005年
06月
28日
火曜日
17:00:27)
6月28日(第10回目)の講義では
(1)予告した「オームの法則」は次回に先送りし、テキストp294のMotional
EMFから話を始めました。Assignment#5(1)は、p295にある「Although
the magnetic force is responsible for establishing the EMF,
it is not doing any work. Who is supplying the
energy? 」に対する答えの内容を自身の言葉で解説せよ!(訳文を作ることではありません)です。同時に関連するAssignment#5(2)としてp293の問題7.6を出しました。
(2)磁気力(ローレンツ力)によるMotional
EMFを磁束の変化率で表現するFlux
Ruleを一般的に証明しましたが、それに関連しAssignment#5(3)としてp300の問題7.9を、Assignment#5(4)としてp300の問題7.11を出しました。
(3)テキストp301に移り、実験(1)の結果はMotional
EMFによるものでMagnetic
originであり、実験(2)の結果は相対運動を考えると当たり前のように思えますが、変動する磁場により誘起された電場(ファラデー電場)によるものでElectric
originであり、メカニズムが全く異なる!?にもかかわらず両者がε=ーdφ/dtという一つのFlux
Ruleで書けることは驚きであることを話しました。後期の最後で特殊相対性理論と電磁気の深い関係について話しますが、そこでこの点にまた触れますので、どう驚きなのか?を各自で深化させてみてください。
(4)ファラデー電場と静磁場の満たす場の方程式の類似性を説明し、その例題として、ソレノイド電流が時間に比例して増大し一定の時間変化率を持つ変動磁場により誘起される電場が、一様な定常円柱電流により作られる磁場の空間分布と同じになることを説明しました。
(5)p321に移り、定常電流に対するという付帯条件のついたアンペールの法則(微分型)∇×B=μ0Jは非定常電流の場合成り立たないことをコンデンサーの充電過程の例を含めて話し、変位電流項が必要なことを説明しかけたところで時間切れです。
(6)変位電流はその名前が「電流」となっていますが、電荷が移動する「真電流J」とは何の関係がなくMisleadingな名前ですが、変位電流について「変位電流は磁場を作るか?」というwebマテリアルを作ってありますので、来週までに見ておいてください。
(7)来週7/5は変位電流の続きを話し、オームの法則に簡単に触れ、7.2.3Indactance,
7.2.4 Energy in Magnetic fields に進みます。
→
変位電流は磁場を作るか?
満田
さんからのコメント
(
Date: 2005年
07月
05日
火曜日
15:42:16)
7月5日(第11回目)の講義では
(1)変位電流の続きを話し、「非定常電流を伴うコンデンサーの充電過程の例ではアンペールの法則(微分型)∇×B=μ0Jには不備がある」点が、変位電流を加えたアンペールの法則with
Maxwell's correctionではその不備が解消されていることを説明しました。
「変位電流は磁場を作るか?」というwebマテリアルを事前に見た人はほとんどいなかったようですが、「p324のproblem7.32およびそのfoot
note14(This
problem raises an intersting quasi-philosophical
question)」にあるように、コンデンサー内の磁場を測定すると変位電流の効果を見ていることになるのか?単に電流の効果を見ていることになるのか?を考えながら、関連するこのwebマテリアルを(夏休みにでもゆっくりと)読んでみてください。
(2)オームの法則をまたまた先送りし、テキストp326-327に沿って、Maxwell方程式における電場と磁場の対称性について話し、電場と磁場のソースは電荷と電流であることを強調しました(省略した式変形は「変位電流は磁場を作るか?」というwebマテリアルの「3.Jefimenko方程式」を参照してください)。
Magnetic
Charge(Magnetic monopole)は今日まで実験では見つかっていませんが、Maxwell方程式は電場と磁場の対称性からはMagnetic
Chargeを請うていると言える話をしました。ファラデー項(変位磁流項?)/Maxwell項?(変位電流項)
(3)テキストp310に従い、mutual-inductanceについて解説しました。例題7.10の有限長と無限長の同軸ソレノイドコイルの問題を通して、その定義からはある意味当たり前に思えるM12=M21は以外にもAstonishingであることが体感できたでしょうか?。
(4)磁場のエネルギーは磁場がした仕事によるものではなく(磁場は仕事をしない!)、電流を流して磁場をゼロから有限の値まで変化させる際にファラデーの法則により生じたback
EMFを担う電場(ファラデー電場)がした仕事によるものである、という話を、LR回路における充電過程の例を出して話始めましたが、時間切れでした。
(5)来週7/12は磁場のエネルギーの続きを話しオームの法則に簡単に触れ7章を終えます。
満田
さんからのコメント
(
Date: 2005年
07月
13日
水曜日
12:49:04)
7月12日(第12回目)の講義では
(1)前回に、LR回路における充電過程の例を用いて、定常電流
I
がリアクタンスLのコイルに流れている際に、(発生した磁場に)蓄えられたエネルギーは 1/2*LI^2であることを話ましたが、テキスト、p317[7.2.4 Energy
in Magnetic Fields]に沿い、磁場エネルギーの4種の表式(7.29式/7.31式/7.33式/7.34式)を求めました。7.33式から7.34式に移る際に7.33式の第二項目がdie
outすることを、ループ電流(磁気モーメント)の作るベクトルポテンシャル&磁場を遠方で評価し、示しました。静電場のエネルギーでも同様な議論があったことを思い出してください(2.44式があり問題2.32(c)で積分領域をAll
spaceに持って行くと第二項目がdie
outすることを以前に勉強しました)。p319
にあるように静電場のエネルギー2.43式&2.45式と静磁場エネルギー7.31式&7.34式の類似性を再確認してください。
なお、ループ電流が作る磁場やベクトルポテンシャルを遠方で評価するとどうなるか?についてはまだ話していませんが、これについては後期の最初に、電気モーメントと磁気モーメントについて物理数学で学習したLegendre関数を用いた多重極展開で説明します。
(2)4種の表式(7.29式/7.31式/7.33式/7.34式)の等価性をソレノイド電流の問題7.26を具体的に解くことにより確認しました。磁場のエネルギーは磁場がした仕事によるものではなく、磁場をゼロから有限の値まで変化させる際にファラデーの法則により生じたback
EMFを担う電場(ファラデー電場)がした仕事によるものです。
(3)先延ばしになっていたオームの法則の話に入り、抵抗率は導体から絶縁体まで十数桁にわたる極めて大きな変化をする物理量であること、金属と半導体での温度変化の質的違いなどについて話していましたが、肝心のオームの法則(Local
form)を導出する前で時間切れになりました。
(4)(3)に関連して、Assignment#4(問題5.19)で伝導電子のドリフト速度を評価して、異常に「のろい」ことにびっくりしましたか?というところから、なぜスイッチONにするとすぐに電灯がつくのか?という話をしましたが、光速で伝搬する信号を伝えているのは伝導電子ではなく、近接作用により光速で伝搬する電磁場であるという話については8章でまた詳しく話します。このあたりが電磁気では面白いところです。
(5)昨日取ったアンケートは、演習、Assignment,講義からなる電磁気の授業を改善するために整理中です。
アンケートの回答、御苦労様でした。