満田
さんからのコメント
(
Date: 2005年
09月
29日
木曜日
08:54:20)
9月28日(後期 第1回目)の講義では
後期の講義予定
3章Special
Techniques
4章Electric
Fields in Matter
6章
Magnetic
Fields in Matter
8章Conservaton
Law
に従い、3章Special
Techniquesから始めました。
(1)これまで扱って来た静電場の問題は与えられた電荷分布がどのような場やPotentialを作るか?を積分により求めるものでしたが、例えば、導体に与えた全電荷量Qはわかるがそれがどのような表面電荷分布をするかは自明でない場合や、電源を用いて導体の電位(Potential)自身を制御する場合は、これらの積分の方法は有効ではなく、電荷のない空間でのPotential V(r)を求めるためにはLaplace方程式∇^2V(r)=0という偏微分方程式を適切な境界条件(Boundary
Condition)で解くことになることを説明しました。
(2)電荷のない空間でのPotential V(r)が満たしている特徴的な性質(The
value of V at the point r is the average value of V over a
spherical surface of radious R)を、点電荷の作る場について積分計算をしてcheckし、重ね合わせの原理により、任意の電荷分布が作る電荷のない空間でのPotentialについても成り立つことを示しました。(テキストp114)
(3)電荷のない空間でのPotential値はそのまわりのPotential値の平均値になっているという、静電Potentialの満たす性質は当然、Laplace方程式∇^2V(r)=0という場のでき方を記述している偏微分方程式のなかに直接読み取ることができるはずですが、(簡単のため)2次元の格子化したLaplace方程式を用いて「格子点(i,j)における電位は、まわりに隣接する4つの格子点の平均値に等しくなるように決まる」ことをLaplace方程式が要求!していることを確かめました。それを実践した解法がRelaxation
Method(緩和法)ですが、それをQuickTime
Movieで見せました(同じものが電磁気web-pageの『電磁気学webコンテンツ集』に置いてありますので復習に活用してください)。
(4)Laplace方程式が要求!している場のでき方からは、「空間に電荷を含まない静電場を考えると、電位はその領域内において極大値、極小値も取らない」というEarnshaw(アンショウ)の定理が導かれるという話をしましたが、演習で扱う問題3.2(p115)を解いて、「electrostatic
containment is out of the question」
を体感してください(『電磁気学webコンテンツ集』にその助け?になるマテリアルがあります)。
(5)Relaxation
Method(緩和法)を適用した四角パイプの問題を、変数分離によりLaplace方程式を解く方法で解析的に扱いました。(これは問題3.14(p136)の問題そのものです:ただし辺の長さa,bが逆になっています)
最後のV(x=a,y)=V0の境界条件をそれまでに求まった解の和として満たさなければならないこと、それ自身が方形波のフーリエ級数になっていることを指摘しておきました。
(6)四角パイプの問題では変数分離法の方法を直交座標系で用いましたが、球座標系ではどうなるか?自由空間で導体球の電位を指定した場合には電位は球対称性(Vは動径長rだけの関数)を持ち、偏微分方程式は簡単に解けましたが(問題3.3(p116))、一様外電場中に置かれた導体球については、Vは動径長rだけの関数ではなくθにも依存し、 Legendre(ルジャンドル)特殊関数の登場になる話をしました。
(7)次回は球座標系での変数分離法について話をして(p137)、もう一つの解法であるMethod
of Image(p121)に進みます。物理数学2で学習した「Legendre(ルジャンドル)特殊関数」について必ず復習しておいてください。学習済みを前提として話を始めます。
→
『電磁気学webコンテンツ集』
満田
さんからのコメント
(
Date: 2005年
10月
05日
水曜日
13:34:33)
10月5日(後期 第2回目)の講義では
(1)極座標系での変数分離法の方法の例題として、一様外電場中に置かれた導体球を扱うExample3.8(p141)を取り上げ、テキストの記述に沿って解説しました。まず、V(r,θ)の一般解が式3.65になることをテキストp137〜139に沿って復習(物理数学2で学習済みの話)しました。直交関数系の話が怪しい人(線形代数におけるベクトル/基底ベクトル/成分/内積/直交性が直交関数系ではどうなっているか?ピンと来ない人)は復習をしてください。V(r,θ)の解法を解説する前の助走として、電位Vが動径長r/sだけの関数で球対称性/円柱対称性を持つ場合のラプラス方程式(偏微分方程式)の解を求める問題3.3をAssignment#1(その1)として出しました。
(2)Example3.8は導体表面を内側の境界として、無限の彼方を外側の境界として持つ領域について(電荷は存在しませんので)Laplace方程式の満たす境界条件(境界における電位)を課して解を求めるものでした。この問題の理解を深めるために問題3.17(a)
をAssignment#1(その2)として出しました。
(3)続いて、Example3.9(p142)を取り上げ、球面上の電荷分布σ(θ)が最初に与えられた場合をテキストの記述に沿って解説しました。この問題では半径Rの球の外側(OUT)と内側(IN)を分けて考えました。OUT領域とIN領域の境界条件を、Laplace方程式という偏微分方程式の境界値問題としてどのように与えたか?今一度整理してみてください。この問題の理解を深めるために問題3.17(b)
をAssignment#1(その3)として出しました。
(4)p145問題3.25&3.24を円柱座標系における同様なLaplace方程式境界値問題として解説する予定でしたが、時間切れなので、これは各自で計算してみてください(答え合わせとして、誘起される電荷はσ(φ)=2(ε0)(E0)Cos(φ)となります)
(5)次回はテキストp121
の Method
of Imageに入ります。
満田
さんからのコメント
(
Date: 2005年
10月
19日
水曜日
13:54:15)
10月19日(後期 第3回目)の講義では
Method
of Image(p121)に進み
(1)Grounded
conducting planeと点電荷qからなる系(Original
Problem)のPotential問題を、似て非なる[点電荷qとImage点電荷q’]からなる系(Analog
Problem)を利用して、z=0の境界面でPotential=ゼロという境界条件を満足するようにImage点電荷q’の大きさと場所を決め、解く方法(Method
of Image)を説明しました。導体表面に誘起される電荷分布σ(ρ)は問題が解けるまではあらかじめわかりませんが、Potential問題が解けたあとはNormal
derivativeにより求めることができ、直感通り点電荷に最も近いρ=0で最大値をとり、対称軸まわりの回転角θには依存しない、全電荷量がImage点電荷q’に等しいσ(ρ)が求まりました。点電荷に働く力についても電荷分布σ(ρ)が点電荷の場所に作る電場を計算し求め、それが点電荷qとImage点電荷q’を考えた単純な結果と一致することも確かめました。ただし、この系に蓄えられた静電場エネルギーについて単純に(Analog
Problem)の答えを代用してはまずい点について言及しました。
(2)(1)の例では、Image点電荷は1個で十分でしたが、複数のImage点電荷が必要で、常に境界条件を満足するようなImage点電荷q’の置き方があるわけではないことを体感するためにAssignment(後期)#2その1として、p126の問題3.10を出しました。90°の場合、45°の場合、135°の場合について解法の方針と、なぜ角度が限られるのかについて絵解きで説明をし、Method
of ImageではPotential問題を考えている空間にImage点電荷を置いては行けない(Original
Problemが破綻)こと、複数のImage点電荷が数ないしは大きさについて収束しないと問題が閉じないことを指摘しました。演習で扱う問題3.35も同類の問題ですので注意深く解いてみてください。よってAssignment(後期)#2その1は答えだけ書いてあってもダメで、適切な説明を各自の言葉で行ってください。(論理の流れが採点者に明快にわかるような記述を!)
(3)半径Rの(接地された)導体球の近くに点電荷qを置いた問題をp124Example3.2にそって考えました。この問題に関連してAssignment(後期)#2その2として、全く逆の状況におけるPotential問題を設定しました(テキストには問題として載っていません)。半径RのGrounded
hollow sphere内に中心点から距離aの場所に点電荷qがある時のPotential問題をMethod
of Imageで考えなさいというものです。ですので、Example3.2で得た事実はすべて使って良く、すべて最初から記述する必要はありません。
(4)同様に、半径Rの(孤立した)導体球の近くに点電荷qを置いた問題を考えました。先ほどの「(接地された)導体球の近くに点電荷qを置いた問題」にもう一つのImage点電荷を球の中心に置けば良いことを示しました。
(5)「(接地された)/(孤立した)導体球の近くに点電荷qを置いた問題」を対比させながら、誘導電荷分布σ(θ)の違い、球面上での電気力線の出入りの仕方の違い、球面上でのPotential値(ゼロ)/(点電荷の距離により変化する)の違いを指摘しながらQuickTimeMovieを見せました。この電子コンテンツは電磁気webページ内の『電磁気学webコンテンツ集』の3章に置いてありますので、納得がいくまで見てください。
(5)p146の3.4
Multipole Expansion に進み全電荷量はゼロである典型的な電荷分布(電気双極子、電気4重極子)についてそのポテンシャルを電子コンテンツを用いて示したところで時間切れになりました。
(6)来週はルジャンドル多項式の母関数を用いて、Multipole
Expansionの話を進めます。ルジャンドル多項式の母関数?という人は、簡単に復習しておいてください。
満田
さんからのコメント
(
Date: 2005年
10月
26日
水曜日
12:55:15)
10月26日(後期 第4回目)の講義では
p146の3.4
Multipole Expansion に進み
(1)ルジャンドル多項式の母関数を利用して、任意の電荷分布ρ(r’)の作るポテンシャルを1/rのベキで表現するMultipole
Expansion(多重極子展開)を議論しました。1/rの寄与としてMonopole項(全電荷が原点に集中したときのMonopole
Q=スカラー
による)、1/r2の寄与としてDipole項(電荷分布の偏りを表すDipole
moment(双極子)
P=ベクトル による
)、1/r3の寄与としてQuadrupole項((Quadrupole Qij=2階のテンソル による)らがあることを説明し、原点からy方向にdだけ離れた位置に点電荷qを置いた電荷分布ρ(r')=qδ(x')δ(y'-d)δ(z')について解析的にMonopole項/Dipole項/Quadrupole項を計算し、さらに図でそれらのポテンシャルを示しました:PCプロジェクターが不調のため正確な絵は見せられませんでしたので、以下のリンクに資料を置いておきます。原点からずれた点電荷の例はMultipole
Expansionを理解するうえで大変わかり易い例になっていますので、説明したように(資料にあるように)オリジナルのポテンシャルからMonopole項を差し引いた残りが主にDipole項で表せること、さらにDipole項を差し引くと残りが主にQuadrupole項で表現できることを味わってください
(2)Monopole項がゼロの場合はDipole
moment(双極子)の値自身は原点の選び方によらず一意的にさだまるが、Monopole項がゼロでない場合はむしろ原点をうまく選ぶことによりDipole
moment(双極子)をゼロにすることができる。
(3)問題3.33にしたがい、Dipole項ポテンシャルからDipole項の作る電場を座標系によらない形で導きました。
(4)導体である金属と絶縁体である誘電体の違いの話をして4章の導入としたところで時間切れです。
(5)次回は4章に入り、テキストの順に話を進めて行きます。
以下は「原点からずれた点電荷の作るポテンシャルのMultipole
Expansion」です。クリックすると順次画面が変わります。
→
原点からずれた点電荷の作るポテンシャルのMultipole
Expansion
満田
さんからのコメント
(
Date: 2005年
11月
02日
水曜日
13:26:07)
11月2日(後期 第5回目)の講義では
4章に入りました。
(1)電場に誘電体をさらすと何が起こるか?を考える前に、誘電体という物質の構成要素である原子/分子に何が起こるか?から議論を始めました。まず水素原子のatomic
Polarizability αについて、(1)最もPrimitiveな原子模型として一様球電荷分布(例題4.1)を考え、α/4πε0=a0^3(a0はBohr半径)、(2)量子力学の教えによる1S軌道の電荷分布(問題4.2)を考えα/4πε0=0.75a0^3〜0.09(a0はBohr半径)、となり、電子分布の形が変わらないモデルでは実験値にほど遠いが、(3)2P軌道などの励起状態の波動関数が基底状態である1S軌道の波動関数に混ざることを反映した正確な量子力学的(摂動)計算を行うとα/4πε0=4.5 a0^3(a0はBohr半径)〜0.669となり非常に良く実験値を説明することに触れ(お話だけ)、量子力学の勉強が順調に進んでいればを1年後の今頃はこれが出せる話をしました。量子力学は大事な基礎科目ですので、頑張ってください。
(2)上記のneutral
atom(non-polar molecules) の場合では、電場を加える前にはdipole
momentが誘起されておらず電場を加えて初めてtiny
dipole moment が電場の方向にinduceされましたが、
H2Oのようなpolar
moleculesの場合はN=P×Eなるtorqueを受け電場の方向を向くプロセスが有限温度での熱擾乱と競合し平均として電場の方向にtiny
dipole momentが向き、結果として、物質(誘電体)は分極(polarized)する話をしました。
(3)分極した物質(誘電体)はdipole
momentの密度である分極P(r)(Plarization)により特徴づけられ、分極した物質が作り出す電場(ポテンシャル)を計算する際には、分極P(r)の存在と等価な表面拘束電荷密度σb(4.11式)と体積拘束電荷密度ρb(4.12式)を考えれば良いという話をしました。この等価性を実感してもらうため、p170問題4.12をレポートにしました(紙1枚:来週火曜日1pmまで7F事務室回収BOXまで)。この問題の回答とP168example4.2を来週解説し、等価性を実感してもらいます。
(4)問題4.14で解説したように、もともと誘電体にある全電荷量はゼロですので、表面拘束電荷密度σbと体積拘束電荷密度ρbをすべて足し合わせるとゼロになるという点を強調しました。
(5)物質(誘電体)の存在下ではガウスの法則(微分型)はどうなるか?の話をし、新しく
D
:electric displacement (名前は歴史的経緯によるもので、単なる補助量と考え、物理的な意味を考える必要はありません)を導入し、自由電荷ρfだけで書かれたガウスの法則(微分型)が得られることを示しました。
(6)問題4.15をその具体例として2種類の方法(method1
&
method2)で解きました。
(method1)σb,ρbを求めガウスの法則(積分型)を用いて電場Eを求める
(method2)electric
displacement についてのガウスの法則(微分型)を用いて求める。
(7)
method2が断然速く解けたので、有限長のBar
electret(問題4.17)についてmethod2を用いるとどうもおかしな話になってしました。次回は何故おかしな話になったのか?から話を始めます。皆さんもどうしてか??各自で考えてみてください。
満田
さんからのコメント
(
Date: 2005年
11月
02日
水曜日
19:29:36)
授業中にアナウンスしましたが、10月下旬まで取っていた「黒板の写真を残すと授業の復習に効果があるか?」については40名弱しか回答がありませんでした。『あれば、役に立つかもしれないが、授業の流れを止めるデメリットを考えると、総合的にはやめておいた方が良い』というのが総意だったように思います。電子黒板で負担なくCopyが取れる設備が教室に整備されている時代が来ると良いのですが、。。。
満田
さんからのコメント
(
Date: 2005年
11月
09日
水曜日
16:22:56)
11月9日(後期 第6回目)の講義では
(1)レポート(p170問題4.12)の解説から始まり、一様に分極した球の作る電場(ポテンシャル)を求める際に(i)問題4.12にあるように直接積分した場合と(ii)P168Example4.2にあるように分極P(r)の存在と等価な拘束電荷密度σb,ρbを考えて求めた場合を示し、確かに等価であることを実感してもらい、別の考え方(Example4.3)の説明も加えました。
(2)先週、問題4.15を2種類の方法(method1
&
method2)で解き、electric
displacement Dについてのガウスの法則(微分型)を用いて求めるmethod2の有用性を示しました。Assignment#3(その1)として、『Dについてのガウスの法則(微分型)を立てる際に、体積拘束電荷密度ρbを-∇・Pとして∇・(ε0E+P)=ρfとして取り込んでも表面拘束電荷密度σbを考慮していませんが、どうしてでしょうか?、method1で、ガウスの法則(積分型)を使って問題を解く場合には実在する等価電荷としてσbも考えてます。 ガウスの法則(微分型)を立てる際に表面拘束電荷密度σbを考慮していないのはどうしてでしょうか??各自の言葉で分かりやすく、この疑問に対する解説を書いてください』を出しました。
(3)
method2が断然速く解けたので、その有効性をさらにcheckするため有限長のBar
electret(問題4.17)についてmethod2を用いると、method1では納得できる結果になるにもかかわらず、どうもおかしな話(E=-P/ε0)?になってしました。これは∇・D=0から直ちにD=0と結論した点が間違っています。D=0と結論するためには∇×D=0も必要な条件ですが、∇×D=∇×Pとなり、高い対称性がないと一般には∇×P=0とはなりません。一様に分極した円柱のどの場所で、∇×Pがゼロでない値をどの方向に取るか?119番の人に前に出て来てもらい作図し解説してもらいました。(問題4.15では常に∇×P=0になっています)
(4)4.4(Linear
Dielectric)に進み、用語の説明をしました。真空の誘電率ε0という表現は真空があたかも誘電率ε0を持つある種の線形誘電体であるような印象を与えますが、ε0は単位系の選択により出て来たものに過ぎません。(線形)誘電体については電場EとElectric
Displacement D の間にはD=εEという関係が生じますが、これがいかに『電場Eを求めるためには、分極Pから生じる拘束電荷分布を知る必要があり、分極Pを前もって知らなくてはいけない。しかしながら分極Pは電場Eをあらかじめ知らない限り計算できない』という連鎖を切断し問題解法に力を発揮しているか?をしっかり考えてください。
(5)それを実感できる例としてExample4.5相当の問題を解説し(この例でも∇×P=0になっています)、導体が完全な静電遮蔽をするのに対し、誘電体では部分的な静電遮蔽が起こっていることを強調しました。
(6)これらの理解を自身で問題を解き深化させるために、Assignment#3(その2)として問題4.32(p198)を出しました。
(7)授業が順調に進めば、Assignment#3として出題しようと思っていた問題4.38(p200)は、誘電体という物質の構成要素である原子の電場に対する応答性atomic
Polarizability αとそれらが高密度で集まった誘電体自身の電場に対する応答性electric
susceptibility χeの関係を与えるClausisus-Mossottiの式を導出し、その意味を考えさせるものです。(4)で述べた連鎖と密接に関係する話で、近く何かの形で触れます(レポート? etc
?)ので、各自で考えておいてください。
満田
さんからのコメント
(
Date: 2005年
11月
16日
水曜日
13:22:04)
11月16日(後期 第7回目)の話は
(1)誘電体で満たされた空間における自由電荷分布の遮蔽
(2)異なる誘電体でしきられた空間におけるMethod
of Image
(3)Energy
in Dielectric System(p191-193を各自で読んでください)
でした。
なお、webによる電子版コメントシートは実施しませんので忘れてください。
次回は
p192 4.4.4
forces on Dielectrics
p255
Chapter6
です。
満田
さんからのコメント
(
Date: 2005年
11月
30日
水曜日
13:34:59)
11月30日(後期 第8回目)の講義では
(1)誘電体の存在下での電荷分布系のエネルギーをどう考えるかという話を、例題4.5(設定が少し異なるが本質的には同じ)を再び登場させ、原点に少しずつ電荷を持ってきながら最終的に電荷Qを置けたとき、どれだけの仕事が必要か?を絵解きで説明し、[誘電体の存在下での電荷分布(Free
Charge と
Bound
Charge)の作る電場のエネルギー]と[誘電体の分極内に蓄えられた(バネのイメージを用いました)
エネルギー]の2者からなることを説明しました。
(2)(線形)誘電体の存在下で電荷分布系が持つエネルギーの表式をテキストに準拠して導き、エネルギーが上述した2者からなることを定量的に示す例題として、原子の分極についてバネのモデルを用いた稀薄気体の例を話しました。
(3)4.4.4にある平行平板コンデンサーに誘電体をインサートした場合のエネルギーと働く力について話しました。誘電体が引き込まれるのはコンデンサー極板の端の電場(Fringing
Field)が一様でなく勾配があるためですが、そういった詳細には触れないでもエネルギーバランスを考えることにより引き込む力の計算ができる点を強調しました。
(4)(A)電荷Q-Fixedと(B)電位差V-Fixedに分けて話をし、(B)では電源がする仕事も勘定に入れないと誘電体が押し出される?間違った結論になってしまうことを説明しました。(A)と(B)で導かれる力は同じく引き込まれる引力ですが、同じx-依存性を持っているでしょうか?考えてみてください。
(5)一般的な局在した電流分布の作るベクトルポテンシャルを遠方で評価し(ここではルジャンドル多項式の母関数を利用したMultipole
Expansion(多重極子展開)ではなく、第2項目までしか考えないので1/rのベキ展開をテーラー展開で)、1/rの寄与は全電流の和がゼロであるためゼロになること(厳密な計算はwebにUPする補助プリントで)、1/r2の寄与としてMagnetic
Dipole(磁気双極子)からなる項(導出計算はwebにUPする補助プリントで)があり、それが作る磁場はelectric
Dipole moment(電気双極子)
のそれと全く同じであることを説明しました。*補助プリントは12月中旬までにはUpします。
(6)つぎに誘電体における分極Pの話と同様に、
磁化した物質(磁性体)はmagnetic
dipole momentの密度である磁化M(r)(Magnetization)により特徴づけられ、磁化した物質が作り出す磁場(ベクトルポテンシャル)を計算する際には、磁化M(r)の存在と等価な表面拘束電流密度Kと体積拘束電流密度Jを考えれば良いという話をしようとしたところで時間切れでした。
(7)次回はp263 6.2 The
field of a magnetized objectから話を進めます。できれば、次回の講義までにベクトル解析公式(問題1.60(b))を各自でcheckしておいてください。
満田
さんからのコメント
(
Date: 2005年
12月
07日
水曜日
17:01:09)
12月7日(後期 第9回目)の講義では
(0)一般的な局在した電流分布の作るベクトルポテンシャルの計算についてwebにUPする補助プリントは今週末まで待ってください。
(1)磁化した物質(磁性体)はmagnetic
dipole momentの密度である磁化M(r)(Magnetization)により特徴づけられ、磁化した物質が作り出す磁場(ベクトルポテンシャル)を計算する際には、磁化M(r)の存在と等価な表面拘束電流密度Kと体積拘束電流密度Jを考えれば良いという話を、誘電体における分極の場合と対比しながら話しました。
(2)この拘束電流J&Kの表式を用いて問題6.7&6.8の設定におけるJ&Kを実際に計算してみました。
(3)問題6.8では拘束電流J&Kの総和がゼロになっていましたが、「誘電体の拘束電荷について確かめた総和則(問題4.14:全電荷量はもともとゼロ!)」と同様に、磁性体における拘束電流についても総和則が成り立っているのかを振ってみました。考えてみてください。
(4)数学的導出で求めたJ&Kの表式が、物理的に何故出てくるのか?を説明しました。
(5)誘電体でDを導入したのと同様に、磁性体では補助量であるHを導入すると拘束電流から解放されてfreeCurrentだけを考えれば良いアンペールの法則(微分型)∇×H=Jfreeが得られることを示しました。
満田
さんからのコメント
(
Date: 2005年
12月
14日
水曜日
19:12:07)
本日12月14日(後期10回目)の講義のあと先ほどまで、3B学生実験等でOfficeを離れていましたので、アナウンスした「局在した電流分布の作るベクトルポテンシャルの計算の補助プリント」をScanしUPします。
→
補助プリント1/3
満田
さんからのコメント
(
Date: 2005年
12月
14日
水曜日
19:12:47)
補助プリント2/3
→
補助プリント2/3
満田
さんからのコメント
(
Date: 2005年
12月
14日
水曜日
19:13:46)
補助プリント3/3
→
補助プリント3/3
満田
さんからのコメント
(
Date: 2005年
12月
14日
水曜日
20:42:35)
12月14日(後期 第10回目)の講義では
(0)レポート(後期assignment4の代わり)『磁性体における拘束電流についても総和則が成り立っているのか?』について説明しました。
(1)誘電体で補助場Dを導入したのと同様に、磁性体では補助場Hを導入すると拘束電流から解放されてfreeCurrentだけを考えれば良いアンペールの法則(微分型)Rot(H)=Jfreeが得られます。前回に、『拘束電流J&Kを求めアンペールの法則(積分型)を用いて磁場Bを求める(方法1)』を用いて問題6.8&6.9を解きましたが、『H
についてのアンペールの法則(微分型)を用いて求める(方法2)』を問題6.8&6.9について使うと断然速く解けることを示しました。これは、誘電体でした話と同じ話です。
(2)しかしながら、方法2は無限長のBar
Magnetについては確かにうまく行きましたが、有限長のBar
Magnetについては、どうもおかしな話になってしまうがどうしてか?を発問して、円柱の上端&下端面でDiv(H)≠0で-Div(M)であることが問題であることを指摘しました。
(3)一様に(円柱軸方向に)磁化した有限長のBar
Magnet(磁性体)と一様に(円柱軸方向に)分極した有限長のBar
electret(誘電体)をパラレルに扱い、発生するH、BおよびE、Dを、等価○○(磁荷)、等価電流、等価電荷、等価○○の助けを借りて作図しました。これらH、B、E、Dの力線の形を見ながら相違点と類似点は何か?HとB、EとDの平行性について今一度考えてみてください。
(4)有限長のBar
Magnet(磁性体)のBとHの場の補足として、BとHの力線を正確に描く場合にはBおよびHについての境界条件を吟味すると良いという話をしました。テキストp273-274を参照
(5)電気感受率χeがEに対するPの応答の仕方として定義されたことに対応して、磁気感受率χmもBに対するMの応答の仕方として定義されるように思えますが、実験室でコイルを流れるfree
currentを制御してHを制御しその結果、コイル内の物質の磁化Mが決まりBが定まる状況では、習慣として、磁気感受率χmはHに対するMの応答の仕方として定義される点を説明しました(コンデンサーでfree
chargeを制御するわけではなく、極板間の電位差を電源で制御してDではなくEを制御している点に注意してください)
(6)7章に戻り、誘電体&磁性体の存在下でのMaxwell方程式(7.55式)を導出しました。
(7)次回は8章に進み、電磁場には固有のエネルギー、運動量、角運動量が付随している話に進みます。余裕のある人は、次回までにテキストp306のexample7.8に目を通しておいてください。(quasistaticという意味をはっきりさせるには、『変位電流は磁場をつくるか?』のなかの『発展:時間変化するソレノイド電流の作る電場
』を読んでおくと良いと思います)。
満田
さんからのコメント
(
Date: 2005年
12月
22日
木曜日
10:45:15)
12月22日(後期 第11回目)の講義では
(1)7章のあとintermissionを置き8章以降が始まるテキストの構成の思想を説明し、それゆえこの1年間の講義ではカバーできなかった電磁波の伝搬(導波管を含む)や輻射の話が来年度の[光学1]や[電気力学]で講義されることを話しました。テキストのintermissionの部分を読んでみてください。
(2)電磁場を含めたエネルギー保存則を表すPoyntingの定理を、その導出自身はテキストに任せ、電荷保存則との対比をしながら説明し、webマテリアル『変位電流は磁場をつくるか?』で用いた平板コンデンサーへの(一定電流による)充電過程を再び例にとり、Poyntingの定理が確かに成り立っていることを定量的にcheckしました。さらに運動量の保存則では左辺で時間減少率を考える量が、「力学的および電磁的運動量密度」というベクトル量であるため、対応する右辺のDivergenceを計算する「運動量
flux
density」は2階のテンソル(Maxwell-Stress-tensor)になることを、具体的導出や意味付けはテキストにまかせ述べて、同様に電磁的角運動量を紹介し、ファイマンパラドックスの話につなげました。
(3)例題8.4と問題8.7がファイマンパラドックスの非常に明快な例題になっています。講義では時間切れでその詳細には触れられませんでしたが、これはあらかじめ系に蓄えられていた電磁的角運動量が力学的角運動量に移行するため物体が回転を始める現象ですが、一見すると回転に伴う力学的角運動量がどこから来たのか?不思議に思えるためパラドックス?と称しています。例題8.4と問題8.7は電磁的角運動量が力学的角運動量に移行するメカニズムが異なる例になっていて、[例題8.4
]の磁場をゼロにする場合は誘起されたファラデー電場により電荷がクーロン力を受け、[問題8.7
]の電場をゼロにする場合は橋渡しにおいたspokeを流れる電流に磁場がローレンツ力を及ぼし、それぞれ回転のトルクを得るというものです。恐らく自力で概要は理解できると思いますので、テキストを読んでみてください。
(4)授業アンケートについてお願いしました。終了は12月24日夜中までです。
(5)来年の2回のテストを頑張ってください。では良い正月を
満田
さんからのコメント
(
Date: 2005年
12月
25日
日曜日
20:48:27)
授業についての電子アンケート(受付期間:12/20〜12/24)を閉じました。
42名から回答がありました。共同作業としての授業へのparticipationと同値であると考えていますので、授業時には〜70名程度は出席があったと見ていたので多少残念な気もします。
この回答をもとに来年度の電磁気学(講義:Assignment:演習)の授業改善に活用させて頂きます。
なお、宣言しましたように、電子アンケート回答の有無をcheckするために学籍番号を尋ねていますが、どの学籍番号でどのようにアンケート回答したかはいっさい記録されない状態でデータを保存してあります。
授業改善への御協力有り難うございました。
良い年末を