1-2なぜ磁化MをBでなくHの関数として表すのか?

電磁気学を学んでいくとBとHを混同してしまうことがあるが、ここでは簡単に二つの違いの復習をする。なお電磁気学は単位系の違いでも混乱をまねいてしまうので、ここではMKS単位系を用いる。
磁性体が磁化した時その磁化Mによって
1-2-2 1-2-3
なる体積&表面-磁化電流密度が磁場Bの新たなsourceとなる。(Griffiths p.264~265参照)
磁場Bのsourceである電流密度は実験室内でコントロールできるfree電流J
fと磁化電流密度Jbの和
1-2-4
であるので、磁化の寄与をAmpereの法則に取り込むと
名称未設定 33
となり、ここで補助磁場Hを
名称未設定 34
と定義すると(Griffiths p.269参照)、Ampereの法則は
1-2-6
と表せ、実験室でコイルに流す電流(free電流Jf)を制御して補助磁場Hを制御しその結果、コイル内の磁性体の磁化Mが決まり、磁場
1-2-7
が定まることになる。つまり、磁場Bは磁化Mが定まってから決定される量であり、磁化Mを磁場Bの関数としてM(B)と表すことは適切ではない。
一方補助磁場Hという物理量は、磁性体を扱う場合でも磁化電流を考えることなく、実験室でコントロールできる電流(free電流J
f)のみを用いて扱える。よって、磁化Mは補助磁場Hの関数としてM(H)と表すことになる。