1-5 本測定装置でどのように磁場H、磁化Mを測定するか?

上述したフリップコイル法は、測定したい磁場Bが存在する場所でコイルを反転する方法であるが、本実験で測定すべき外磁場Hおよび磁化Mの測定に利用できるだろうか?
磁性体がなく外磁場Hだけがある場合に

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なる磁場を、
外磁場Hのもとで磁化した磁性体がある場合に
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なる磁場を測定できれば、外磁場Hおよび磁化Mを知ることができるが、図示したようにソレノイドコイルにより外磁場Hを発生させその中に磁性体を置く本装置の配置では、コイルを反転させることは困難である。
コイルを回転させるのではなく、「知りたい」磁場Bの向きを逆転させてもフリップコイル法と同様に、ピックアップコイルが「見ている」磁場Bを測定することができる。

具体的には、磁場Hを発生させる装置としてソレノイドコイルを用いれば、コイルに流す電流の向きを変えることで発生する磁場の向きを変えることができる。ソレノイドコイルに電流を流し磁場Hを発生させ、コイル内に磁性体に巻いた磁束を検出するピックアップコイルを置けば、このコイルを通過する磁束は
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ただし、ピックアップコイルの巻き数をn、断面積をSとする。電流を逆向きに流すとピックアップコイルを通過する磁束は
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となり、外磁場H反転の前後の磁束の変化量は2φとなる。この間に回路に流れた電荷量を測定すれば、フリップコイルと同じ原理でピックアップコイルが「見ている」磁場Bを測定できる。

棒状磁性体とコイル


ちなみに、外磁場Hを測定する場合は、空心ピックアップコイルをソレノイドコイルの中に配置すれば
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を得て、コイルを貫く磁束は外磁場によるものだけなので、外部磁場Hは
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と表せる。